2018年3月16日金曜日

稽古 お辞儀 総礼 茶事(2)

お茶を習い始めた頃には、いつ誰に対してお辞儀するものやら、中々分からない。
いつの間にか自然に身についてくるが、お辞儀の意味が分かって来るのは、随分後になる。

点前の途中のお辞儀は何故しているのか再度書いてみた。

稽古であれば、
始めに、亭主役は、茶碗を膝前に置き、襖を開けて一礼、同時に客も全員お辞儀をする。
また、終りには、亭主は、水次薬缶を膝前に置いて、一礼、同時に客も一礼して、亭主は襖を閉める。
これは、稽古の始めと終わりの稽古人同士の挨拶である。
実際の茶事では行わない仕草である。

点前の途中のお辞儀は、お茶の稽古を始めた人には分かりにくい。
亭主がお辞儀をして、客がお辞儀を返す。
また、客がお辞儀をして、亭主がお辞儀を返す。
どちらにしろ、亭主と客は同時にお辞儀をしている訳ではない。

薄茶の場合、
(1)点前の始まりで、亭主は建水を持ち出し、蓋置に柄杓を引いた後、一礼する。
これは、膝の挨拶とも言い、客に向かって、「お楽にして下さい」と言っている一礼である。
亭主から「お楽にして下さい」と言われたので、客はそれを受けて、礼を返している。

(2)客は薄茶碗を取り込んだ後、「お茶を頂戴します」と一礼して、お茶を頂く。
亭主は客のその挨拶を受けて、「どうぞ」と礼を返している。

(3)正客は、連客にお茶が一巡した後、客にもう十分か尋ねてから、亭主に向かって、「お仕舞い」して頂く様に、一礼する。
亭主は正客のその挨拶を受けて、茶碗を持ったまま、軽く「分かりました」との礼を返す。

(4)亭主は、その後、茶碗を膝前に置いて、「それでは、お仕舞します」とキチンと一礼する。
客は全員で、亭主のその挨拶を受けて、「有難うございました」との礼を返す。
亭主の薄茶点前に対しての客全員からの感謝の一礼である。

濃茶の場合、薄茶との違いのみを書いてみると、
(5)正客が、濃茶と出帛紗を取り込んだ後、
次客側に、茶碗と出帛紗を置いて、正客は「お先に頂きます」と次客以下に一礼する。
次客以下全員は、「どうぞ」と礼を返す。

(6)正客が濃茶を飲んでいる途中に、
次客は三客に向かって「お先に頂きます」と一礼する。
三客は、「どうぞ」と次客に礼を返す。

(7)正客は濃茶を飲んだ後、茶碗と出帛紗を次客に送る。
正客は「お先に頂きました」と次客に一礼する。
次客は、「どういたしまして」と正客に礼を返す。

(8)客全員が濃茶を飲み終わり、茶碗と出帛紗の拝見も終わると、正客は茶碗と出帛紗を亭主に返す。
亭主が出帛紗と茶碗を取り込み、茶碗を膝前に置いた所で、
客全員は、「有難うございました」との一礼をする。
亭主の濃茶点前に対しての客全員からの感謝の一礼である。
亭主は、「どういたしまして」と客全員に礼を返す。

(9)亭主は茶碗をお湯でゆすいだ後、茶碗を膝前に置いて、
「お仕舞します」と正客に向かって一礼する。
客全員にではなく、正客に向かって言っている。
正客は、「有難うございました」と亭主に礼を返す。

(10)拝見があれば、正客が拝見を亭主に請い、亭主がそれを受ける事になる。
拝見物を返す時も同様に、正客が亭主に尋ね、亭主がそれに答える事になる。

何しろ、
亭主がお辞儀をして、客がお辞儀を返す。
また、客がお辞儀をして、亭主がお辞儀を返す。
亭主と客は同時にお辞儀をしている訳ではない。


下記も参照
2016年6月27日 「稽古 お辞儀 総礼 茶事
2015年3月14日 「お辞儀 一礼


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2018年2月16日金曜日

濡れ灰を作る 撒き灰 炉

炉の炭点前では、濡れ灰を撒くが、灰匙からサラサラと落ちる灰を作りたい。
奇麗であって、撒き易い灰を作りたいが、中々良い灰が出来なかった。
この5~6年は同じ方法で作っている。
同じやり方ではあるが、途中に色々試行錯誤を繰り返して、現在は今の方法に落ち着いた。

小さな「灰の球」を作る事を目指している。
以前は、小さな目の篩いを先ず通し、その後大きな目の篩いを通す等色々試したが、
現在は4mmの篩いを通すだけにしている。

(1)湿った灰を、桶から適当な大きさのボウル(料理用)に移す。



湿った灰には、塊がない方が良い。
湿り過ぎていない方が良い。(自分で試行錯誤が必要)

(2)湿った灰を入れたボウルを、円を描く様に廻す。
廻している内に、微細な灰の球が出来て来る。
廻す回数は数えていないが、50回~200回位ではないだろうか?
湿り気が足りないと思ったら、スプレーで霧を掛けてやる。



写真は、分かり易い様に大粒の灰の球にしているが、実際にはもう少し小さな粒の方が良いと思う。

(3)廻している内に、湿った灰の中から更に湿気が出て来る。
あまり湿気が出て来過ぎると思ったら、乾いた灰(風炉の灰で良い)を少しづつボウルの灰に振りかけて、更に廻してやる。



(4)適当に「灰の球」出来て来たと思ったら、篩いの上にボウルの中の「灰の球」を空けてやる。
篩いの目は、4mmの物を使っている。


(5)そして篩ってやると、「濡れ灰」の出来上がり。
乾いた灰を振りかけているので、湿り過ぎていない、適当に湿った「濡れ灰」が出来上がる。


(6)篩いの目を通らなかった湿った灰は、もう一度ボウルに戻して、塊や大きな灰の球をつぶして、上記を繰り返す。

(7)自分なりに何度か試行錯誤をすれば良いと思う。
1時間もあれば、炭点前10回分位は出来ると思う。


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2018年2月11日日曜日

道具 仮置き 客

拝見その他で、客が亭主の道具を手元に持って来て仮置きする場合がある。
お茶の習い始めには、どちらからどの順番で並べるか迷う事がよくあった。
理屈を知らないから迷いが出て来るので、出来るだけ理屈を知り、考える様にした方がよい。

道具の仮置きについて、濃茶の御三器(茶入、茶杓、仕服)を例にして記してみる。

お茶では、原則、格の高い道具は右手で扱う。
よって、
仮置きする場合も、右手の方向から左手の方向へ、格の高いものから順に置く事になる。

自分の前に並べる時には、
自分の右手の方から、左手の方へ、「茶入」「茶杓」「仕服」の順に並べる事になる。

末客が道具を正客に返す場合、正客の前に並べて置く時には、
正客の右手の方から、左手の方へ、「茶入」「茶杓」「仕服」の順に並べる事になる。

正客が亭主に道具を返す時に置く場合も同じで、
亭主の右手の方から、左手の方へ、「茶入」「茶杓」「仕服」の順に並べる事になる。


但し、例外が一つだけある。
それは拝見する前に、正客が自席の前に仮置きする時である。
この時には、拝見する順番に並べる。
正客から見て、左から右の方へ、「茶入」「茶杓」「仕服」の順に並べる事になる。


これは、普段稽古をする上座床(正客の右手側に床がある)の場合である。

下座床(正客の左手側に床がある)の場合も、理屈を考えれば直ぐ分かる事で、
拝見する前の正客は、正客から見て右の方から、左の方へ、「茶入」「茶杓」「仕服」の順に並べる事になる。
上座床の場合とは逆に並べる事になる。
下座床でもそれ以外の場合は、上座床の場合と同じ様に、右手の方向から左手の方向へ置く。

普段の稽古する広間は、上座床が大半であるが、
小間では、下座床が結構多くあるので、知っておいて悪くない。

下記も参照
2014年10月30日 「茶入・茶器・茶碗等の格 扱い
2015年4月7日 「正客の席 表千家 上座床・下座床
2015年4月20日 「下座床 濃茶 客 茶碗と出し帛紗
2017年10月9日 「茶碗と茶器(茶入)の置き合せ 道具の格


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2018年1月12日金曜日

紹鴎棚 地袋の柄杓・蓋置を使う 薄茶 炉

紹鴎棚を使っている時、
濃茶の終りに、柄杓と蓋置を地袋の左袋戸の中に飾り残すことがある。
この飾り残した柄杓・蓋置を使って薄茶を始めるには、普段あまりしない様な手順を踏むので、ここに記してみた。

紹鴎棚 飾り残した柄杓・蓋置を使って薄茶の点前を始める場合、

茶碗を水屋から持ち出し、棚正面に座る。
茶碗を勝手付きに仮置き。
直ぐに立って、水屋に戻る。

建水を持って出て、棚正面に座る。(柄杓・蓋置は入っていない)
建水を左膝横少し下がった所に置く。

左袋戸のツマミを右手で摘まんで7分目程開け、左手に替えて戸袋を開け切る。

右手で蓋置を取って、左手であしらって、右手で建水の中に入れる。

柄杓を右手で取って、左手で建水の上に置く。
(建水を持ち出す時と同じ格好、柄杓の合は落とさない)

左袋戸のツマミを左手→右手と使って、戸袋を閉め切る。

身体を右戸袋の前まで移し、左手→右手と使って、右戸袋を開ける。

水指を手前に出して、
身体を棚正面に戻す。

右手で中棚の薄茶器を取り、棚前正面の中央少し右寄りに置く。

仮置きした茶碗を、右手で取り、左手で薄茶器の左横に置き合せる。
(建水が左膝脇にあるので、茶碗は右手で取る)

左手で柄杓の柄を少し持ち上げ、
右手で蓋置を取り出して、
柄杓を元に戻す。

左手に蓋置を受けて持ち、身体を居前(外隅中心)に廻す。

蓋置を炉の横定所に置き、
左手で柄杓を取り、右手で蓋置に引いて、「お楽に」の挨拶をする。

この建水から蓋置・柄杓を取るやり方は、男女同じである。

以降は、いつもと同じ。

袋戸ツマミを摘まむ時の親指は、上から摘まむ。
横からは摘ままない。



2018-1-26 2行追加


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2018年1月3日水曜日

炭点前 炭を挟む 炭をつぐ 炉

炭点前で炭をつぐには、
炉の胴炭以外は、火箸で炭を挟んで炉(又は風炉)の中に入れる。
炭の上三分の一位~四分の一位の所を挟む。

炉と風炉では、胴炭の位置が違うので右側に入れるか、左側に入れるかで炭の扱いが少し異なる。



火箸は、写真の様に右手で握る訳だが、
人差し指と中指と親指で握る火箸を「第一の火箸」、
薬指と親指で押える火箸を「第二の火箸」と仮に名付けて説明をする。

炉では、(胴炭は炉の中の手前側に置いている)

炉の右側に炭を入れる場合、
「第一の火箸」を炭の右側に当て、「第二の火箸」を炭の左側に当てて、炭をはさむ。
必然的に、手を普通にして炭を挟んでいる。

丸ギッチョを炉の中に入れる時には、炉の中の奥の方から、胴炭に向かう気持ちで、炭の右側に当てた「第一の火箸」を炭の左側になる様に少し手を動かす気持ちで、入れる。
炉の中のどこに入れるかで異なるので、稽古で練習する事。

割りギッチョでは、割れている側を「第二の火箸」で当てて、炭を挟む。
割れている側は、左を向いている。
炉の中に入れる時は、炭の右側に当てた「第一の火箸」をそのままの形で、ないしは炭の左側になる様に手を少し動かす気持ちで、入れる。

丸管では、丸ギッチョと同じだが、炉に入れる時には、炭の右側に当てた「第一の火箸」を炭の左側になる様に手を動かして入れる。

割り管では、割れている側を「第一の火箸」で当てて、炭を挟む。
炭斗に組んだ状態のままの割り管で、割れている側は右を向いている。
炉に入れる時には、丸管と同じに、炭の右側に当てた「第一の火箸」を炭の左側になる様に手を動かして入れる。

点炭は、炉の右側に入れるか、左側に入れるかではなく、
管炭のどちらから立て掛けるかによって異なる。
管炭の右側から立て掛ける時は、炉の右側に入れる場合と同じにし、
管炭の左側から立て掛ける時は、炉の左側に入れる場合と同じにする。

炉の左側に入れる場合、
「第一の火箸」を炭の左側に当て、「第二の火箸」を炭の右側に当てて、炭をはさむ。
必然的に手を逆にして炭を挟んでいる。

丸ギッチョを炉の中に入れる時には、炉の中の奥の方から、胴炭に向かう気持ちで、炭の左側に当てた「第一の火箸」を炭の右側になる様に手を動かす気持ちで、入れる。
炉の中のどこに入れるかで異なるので、稽古で練習する事。

割りギッチョでは、割れている側を「第二の火箸」で当てて、炭を挟む。
割れている側は、右を向いている。
炉の中に入れる時は、炭の右側に当てた「第二の火箸」をそのままにした手の形で、入れる。

丸管では、丸ギッチョと同じだが、炉に入れる時には、炭の左側に当てた「第一の火箸」を炭の右側になる様に手を動かして入れる。

割り管では、左側(割れている側)を「第一の火箸」で当てて、炭を挟む。
炭斗の中で、割れている側を、左に向く様に動かしておく。
炉に入れる時には、丸管と同じに、炭の左側に当てた「第一の火箸」を炭の右側になる様に手を動かして入れる。

枝炭については、丸管と同じ扱い。


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2017年12月18日月曜日

瓢(ふくべ)炭斗

口切りの頃に好んで使われる炭斗に、瓢(ふくべ)の炭斗がある。

干瓢(かんぴょう)を作るウリ科ユウガオの実(瓢箪、ヒョウタン)の大きい物を乾かして、上部を切り取り、炭斗にした物。

夏にユウガオの実を収穫して、乾燥させ、切って炭斗に細工する頃が、丁度口切りの時期に当たったので、口切りのお茶に好んで使われたらしい。

現在では、開炉から年内位の間の炉の炭斗としてよく使われている。

ふくべの炭斗の底面は平らではないので、通常の炭斗の様に炭を決められた様に並べて組む事はない。

炭は、乱組(らんぐみ)に入れる。
炭の数や組み方に決まりはない。

一例を上げれば、
丸ギッチョを一つ横にして、向こう寄りに入れる。
それに丸ギッチョと割ギッチョを交互に立てかけて入れ、
点炭をさらに手前に掛けて入れる。
右側に丸管と割り管を並べて入れる。
胴炭を丸ギッチョと割りギッチョの上にのせる。
枝炭2本(二本立と三本立)を、先を下にして右手前の縁に掛けて管炭の上あたりに置く。
枝炭は、常の入れ方とは上下を逆にして入れる。
香合は、炭斗の中の適当な所に入れる。
羽箒・火箸・鐶・釜敷を常の様に仕組む。

炭のつぎ方は、常の炭斗と変わる事はない。




胴炭を丸ギッチョ・割りギッチョの上に乗せずに、
丸ギッチョを横にして置いた辺りに、胴炭を横にして置く事も出来る。



手付きのふくべの炭斗は、老人用として使われる。
手は縦にして用いる。

改まった口切りなどには、紙釜敷を使うこともある。

次も参照。
2014年12月30日 「紙釜敷 炉 風炉
2015年1月7日 「炭台 炭その他の配置
2015年1月7日 「炭台 炭点前 炉
2016年1月11日 「炉 長板 諸飾り 炭点前
2016年5月11日 「炉 炭点前 炭斗動かす 羽箒


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2017年11月22日水曜日

四方棚 柄杓・蓋置

昔は四方棚を「半台子」「利休水指棚」「角棚すみだな」とも言った。

利休形 ・・ 桐木地、四隅は直角、本歌は、家元に伝来している。
江岑好み ・・ 桐木地、四隅を丸くしている。
惺斎好み ・・ 松の木、摺り漆、縁は溜塗、四隅は丸い。
惺斎好み ・・ 青漆、爪紅、四隅は丸い。
而妙斎好み ・・ 真塗、利休形を真塗にした。
その他塗物で色々作られているが、主に炉用として使われる。
風炉釜の大きさによっては風炉に使っても良い。
即中斎好みの小四方棚(一閑張溜塗爪紅)は、主として風炉に使われるが、炉にも使うことが出来る。

柄杓・蓋置の飾り残し方は、
入り飾り、もしくは
天板の左端に柄杓を縦に真っすぐに引き、蓋置は地板の柄杓の下辺りに置く。

柄杓を棚に飾る時や飾った柄杓を取る時には、
居前に坐っていても、棚正面に座っていても、右手を使う。

点前の終わりに柄杓・蓋置を飾る場合、

(1)天板に茶器がなくて、居前から「入り飾り」に飾る時、
居前のままで、右手で柄杓の切り止め近くを握り、天板に飾る。
柄の先は棚から5分~1寸程手前に出る。
次に、蓋置を取り、左手にのせて棚正面に向かい、天板の上で柄杓の左、合の真下、柄杓の節に蓋置が三分の一程かかる位に置く。

(2)居前から「柄杓を天板左端」に飾る時、
居前のままで、右手で柄杓の切り止め近くを握り、天板に飾る。
天板左端(左端より六分の一ほど右寄り)に真っすぐに置く。
柄の先は棚から5分~1寸程手前に出る。
蓋置を取り、左手にのせて棚正面に向かい、地板の左端手前、柄杓の真下あたりに置く。
柄杓を天板左端に飾る時には、薄茶器も同時に飾っておく。

(3)棚正面で「柄杓を天板左端」に飾る時、
建水から柄杓を取り、右手で柄杓の切り止め近くを握って、天板に飾る。
左手で蓋置を取り、右手で地板の左端手前、柄杓の真下あたりに置く。




2015年10月6日 「柄杓・蓋置 飾り残し」も参照

2017-12-31 写真を入替
2020-01-28 而妙斎好みを追加


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