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2025年8月7日木曜日

茶筅通しを水でする 猛暑

茶筅通しを水でする  猛暑

昔の茶書にあるとの事。

(堀内兼中斎宗完、昭和60年7月)

猛暑の時には、

始まりの茶筅通しの時、お湯でなく、茶碗を水でゆすぐ事がある。

………………

明治時代以前には、

現代の様な冷蔵技術がないので、

家の中などの涼しい場所で 茶壺に入れたお茶(碾茶てんちゃ) を保存していた。

夏最盛期以降の風炉のお茶は、去年の新茶が経験している2度目の夏であり、

現代人が飲んだ事もないような 緑色が抜けた 古いお茶になっている為、

古茶の臭みを取り去る工夫が必要であった。

風炉の絞り茶巾の場合に、 茶巾を絞り直している間、 茶碗をしばらく冷やしておく。

のと同じ様に、 抹茶に熱いお湯を直に入れて点てずに、 お湯を少し冷やす工夫の一環かも知れない。

………………

風炉の名残のお茶を不味く飲まない工夫として、 昔の人は、

1.お茶を少なめに入れる

2.お湯を多目に入れる

3.長い時間かき混ぜて、お茶の臭みを飛ばす

等を行って、 出来るだけ不味くないお茶を飲むようにしていた。

………………

2024年9月14日土曜日

茶巾を固く絞る

茶巾を固く絞る

茶巾は、出来るだけ水分が少なくなる様に固く絞りたい。

通常、
右手の指と左手の指を使って、ひねって絞るが、
その時、親指と人差し指中指で、茶巾を押しつけて水を押し出す積りで、絞る様にする。
更には、
一旦茶巾を絞っておいて、
水屋の左に掛かっている布巾の間に、その茶巾を入れて、
一緒に絞ると 布巾が水を吸ってくれて更に固く絞れる。

以上

2023年3月2日木曜日

茶事の箸、黒文字など

茶事の箸、黒文字など

膳の箸(長さ 8寸5分)は、右側を膳の端に掛けて、左側を膳の中に落として置く。

箸は右上左下の斜めにして、膳に置く(掛ける)ことになる。

利休形の膳の箸は、杉で作り、長さ8寸5分、両端に向かって少し削って細くしてある。


客も、食事中の箸の置き方は同じにする。

使っている途中で、箸の左端の下に懐紙を敷く人もいるが、私は必要ないと思っている。


(理由)

膳は汚い物ではない。

食べている箸先が汚れているから、それを気にするのだろうが、膳が汚れたのなら、最後に軽く懐紙で拭いておけば良い。


言うまでもないが、

懐石の最後に箸を落とす時には、箸全体を膳の中に落とす。

膳が丸くて、手前にスペースがない時には、器を動かして膳の中央の広い部分に落とす。


八寸盆でも、青竹の両細(長さ 8寸5分)は同じ様に左端を落して置く。


焼き物では、青竹の両細(長さ 8寸5分)は、器の端から端に水平に置く。


鉢類も、白竹の両細(長さ 8寸5分)は縁に水平に置く。


強肴を小さな器に入れて出す時には、杉の箸(長さ 6寸)は水平に置く。


菓子を縁高で出す場合、

黒文字(長さ 6寸)は蓋の上に載せて出す。

客は一段取って置いた時には、黒文字は右側を端に掛け、左側を縁高の中に落とす。


喰籠に菓子を入れて出す時には、

黒文字(長さ 6寸)は蓋の上に載せて出す。

客は蓋だけを次客に回す場合には、黒文字は喰籠の身の縁に水平に載せて回す。


なお、喰籠の蓋だけを次客に回す事はお勧めしない。

茶事の時は特に注意すべきである。

身と蓋は一緒の物だからである。

身に蓋をして一緒に回しても、それによってどれ程 時間が長くなる訳でもない。


菓子を鉢に入れて出す時も、

黒文字(長さ 6寸)は縁に水平に置く。

鉢が大き過ぎてどうしようもない時は、左側を落としても仕方ないだろうが、

出来たら、斜めに置く等水平にする工夫をすべきだろう。


ぜんざい等を菓子として出す時には、杉の箸(長さ 6寸)1本と黒文字(長さ 6寸)1本を一膳(1セット)にして、水平に置く。


小さな丸盆にぜんざいの椀を載せて一人づつに出す時には、右側を縁に掛け 左側を盆に落して置く。


昔は、菓子に黒文字を付けて出された時には、客は黒文字を持って帰ったらしい。


同じく、杉の箸1本と黒文字1本を一膳(1セット)にして付けられた時には、杉箸は折って菓子器に入れて返し、黒文字は持って帰ったらしい。


昔は、黒文字はその茶事の為に亭主が自分で削っていたから、客は頂いて帰ったのだろうが、現在では亭主は黒文字を買っており、使い回しているので、返すべきだと思う。

杉箸も折らずに返すべきだと思う。


当然だが、

杉でも竹でも、水に漬けて濡らして、軽く押さえ拭きして出す。

茶事であったら、濡らした箸や黒文字を、濡らして絞らないままの布巾の間に入れて置いて、必要に応じて出して使ったら宜しい。


黒文字も、手に入るのであれば先が矢筈に切ってある物が良い。

矢筈の黒文字(6寸)が表千家流。

強肴などに使う杉箸(長さ 6寸)も同様に表千家では先を矢筈に切った物を使う。


黒文字や杉の箸の形・置き方は、流儀によって違いがあるようだが、上記は表千家流の方法となる。



以上


2022年5月31日火曜日

稽古と茶事との動作の違い

稽古での動作と茶事の時の動作は違う事がある。 

稽古は、茶事の為の稽古だが、 茶事の時には稽古の時と全く同じ動作をする訳ではない。 稽古は稽古である。

特にお辞儀については、勘違いしている人も多いと思う。

(1)稽古では、
点前の始まりに、亭主は茶碗などを膝前に置いて、亭主と客は同時にお辞儀をする。
これは稽古の動作であって、稽古人同士が、これから稽古を始めますの挨拶である。

(2)茶事であれば、
亭主は茶道口で茶碗を前に置いて点前を始めます等のお辞儀はしない。
初座の始まりに亭主と客はお辞儀を交わし挨拶をしているので、後座の濃茶点前の始まりに再度挨拶をする事はない。
亭主は、茶碗を前に置いて襖を開け、お辞儀はせずに、そのまま立って茶室に入って点前を始める。

(3)初座ではあるが、炭点前の場合も同じで、
亭主は炭斗を取りに水屋に戻ったら、
炭斗を持って立ったまま茶室に入って炭点前を始めれば良い。

(4)初座ないし後座の始めに客は茶室に入るが、その入る時も同じで、稽古と茶事では違いがある。
稽古では、茶室に入る時には、客は襖を開けてお辞儀をする。
これは、これから稽古をさせて頂きますのお辞儀である。
柔道剣道で道場に入る時にするお辞儀と同じである。

(5)茶事で、客が茶室に入る時には、扇子を前にし襖を開けて、茶室の中をうかがい、その後茶室に入る。
お辞儀をしている訳ではない。
中の様子をうかがっているのである。

(6)お辞儀は、
AがBに対して何かの挨拶でお辞儀をし、
それに対して、
BがAにどう致しまして等のお辞儀を返す。
AとBが同時にするお辞儀はない。

(7)総礼と言われる亭主と客が同時にするお辞儀は、稽古だけのものである。
客一同が一緒に亭主に向かってするお辞儀(薄茶のお仕舞の挨拶など)はあるが、
亭主と客が同時にする総礼は、茶事ではない。


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2021年11月23日火曜日

お茶 御茶(おんちゃ) 粗茶

かつては、
唐物茶壺、ルソンの茶壺に入ったお茶を「御茶」と言った。
和物の茶壺に入ったお茶を「粗茶」と言った。

よって、茶事の案内状では、普通「粗茶一服差し上げたく」と書いている。

相伝の飾物に「壺飾り」があるが、
利休は好まなかったと言われている。
また、元伯宗旦は否定したと言われている。

表千家では、紀州家の茶頭になった事により茶壺の飾り方・拝見の仕方が必要になり、江岑又は随流斎によって復活させたらしい。


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2021年3月24日水曜日

花を生ける時の留意点(1)

 花は、利休が「花は野にあるやうに生けよ」と言われている様に、
自然を尊んで思いのままに生ければ良いのだが、却って難しい。


先生に教えて貰うものではないので、自分で工夫しなければならない。
短期間での上達は望めない。
私は、1,000回生ければ、マアマア見られる花になるだろうと思っている。


私が現在思っている茶花を生けるポイントは、次の4点。

(1)少なく入れる。
入れたい花や枝葉があったら、もっとギリギリまで取り去れないか吟味する。
どうしても多く入れてしまう。

(2)花入の縁から立ち上がる部分をスッキリさせる。
余分な物(葉や枝や花)を取り去る。

(3)花全体のバランスが大切。
花入も含めたバランスで、経験が物を言う。

(4)花にも花入にも水を含ませる。
利休は「露の切れた花は、枯れ花も同様なり」と言っている。

更に、
広間、小間それぞれに合うように生ける。
茶花は、季節感を生ける。 花の盛りより少々早めが良い。
茶会の趣旨や道具との取り合わせに合うように生ける。

但し、
七事式の「廻り花」「花寄せ」には、花に何の制限もなく、生け方にも何の制限もない。自由に生ければ良い。


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2021年1月14日木曜日

帛紗 さばく時の指使い

 帛紗の寸法 わさ8寸8分(26.7cm)✕9寸3分(28.2cm)
「わさ」を右縦にして置いて、左側を上に重ね、更にその上に下から重ねて四つ折りにする。



四つ折りの右上角を右手で取って、対角線の反対角を左手で取る。
茶入茶器茶杓を拭く部分が身体の表になる様にして帯に挟む。

帯から引き出した帛紗は、

(1)薄茶 : 上の角を、右手親指を上にして取る

(2)濃茶 : 下の角に、右手人差し指を中に入れて取る

(3)唐物帛紗 : 上の角に、右手親指を中に入れて取る

(4)唐物帛紗 /行から真に移る時: 上の角に、右手親指を下に入れて取る

(5)唐物帛紗 /真で終わる時: 上から3番目の角を、右手親指を上にして取る


下記も参照

2015年12月13日「包み帛紗 濃茶 棗
2015年11月3日「帛紗の寸法

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2020年11月22日日曜日

茶杓 拭き漆

拭き漆 茶杓


利休から古田織部、細川三斎、小堀遠州頃までは、ほとんど拭き漆の茶杓である。

三代 元伯宗旦になると漆を拭いてない茶杓が多くなるそうである。


拭き漆の茶杓(写真)

土岐二三 作。1640年頃~1730年頃の有楽流の茶人。




拭き漆 茶杓の作り方


400年前にはどの様にして漆を拭いたのか知らないが、

現代 拭き漆の茶杓などを作るには、

茶杓を仕上げてから、

透明漆を塗り、すぐにそれを完全に拭き取ってしまう。

毎日一回 同時刻に同じことをする。

20日~30日くらい経つと、拭き漆の茶杓が出来るそうである。


以上

2020年10月2日金曜日

十五夜

 十五夜

令和2年の十五夜(旧暦8月15日)は、新暦10月1日に当たる。


秋は旧暦では、7月8月9月の3ヶ月。

秋の真ん中の月(8月)を仲秋と言う。(旧暦7月は孟秋、9月は季秋)

旧暦8月15日の夜を十五夜と言う。

旧暦8月15日の月を「中秋の名月」「芋名月」と呼ぶ。「仲秋の名月」とも。

(芋は里芋で、サツマイモではない)

日没と共に東の空に昇り、明け方には西の空に没む。

これ以降、月の出は約50分づつ遅くなる。

「月々に 月見る月は 多けれど 月見る月は この月の月」(読み人不知)

旧暦9月13日の夜を「十三夜」と言う。

9月13日の月を「栗名月」「豆名月」と言う。

旧暦では閏月があるので、閏8月または閏9月が挿入される年がある。

その場合は、1年で十五夜または十三夜が2度現れることになる。

二度目については、それぞれ「後の十五夜」「後の十三夜」と呼ばれる。

直近の閏8月は1995年その前は1976年、閏9月は2014年その前は1843年。それぞれ「後の十五夜」「後の十三夜」があったことになる。


参照

2014年12月7日「月の色々の名称

2021-1-22 参照を追加

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2020年8月30日日曜日

利休 染付茶碗は使わなかった

四代 江岑の話として、

利休は、小間の侘茶では「染付茶碗を使わなかった」とある。

 

利休が「紀三井寺」と言う染付茶碗を褒めていたので、

山上宗二がそれを手に入れたが、利休の侘び茶の道具組には染付茶碗の入る余地がないと合点して、山上宗二は割ってしまったと言う話しが残っている。

 

利休の道具の取り合わせは、厳しかった。

茶碗は長次郎の楽茶碗、茶杓は中節の竹茶杓、花入は竹の尺八や一重切り、木地の建水、竹引切の蓋置と見ていくと、

唐物の名物道具とは一線を隔てている

 

長次郎の茶碗を見て判る様に、

利休の好みは、形は歪んでいるがそれを感じさせない端正さ、色は地味。

一つ一つ独立して鑑賞するより、道具の取り合わせによって、ある美しさを創り出すようになっている。

利休は、目の感覚でなく、心の内面に美しさを生み出す内向的な性格の美を求めていた


必然的に、自分が創り出した侘の美しさの調和を壊すものは排除した。

染付茶碗を使わなかったのも当然と思われる。


利休所持 長次郎作 銘 禿(かむろ)写し









2020年5月8日金曜日

火吹き竹

火吹き竹(ひふきだけ)

炭の火が上手く点かなかった時に使用する。
表千家では点前の中では使うことはない。
利休形がある。
直径:8分(約2.4cm)
長さ:9寸8分(約29.7cm)
中の節は、口から3寸(9.1cm)
下は節止めになって、小穴を開けてある。




今年の1月と2月の茶事で、炭点前の火が2度上手く点かなかった。
懐石の終わり頃、炉の火が静まり返っていたので、
懐石の後、菓子の前に炭斗に火吹き竹を入れて持ち出し、
お客の前で釜を上げ、火吹き竹で吹いて炭の火を起こした。
炭に火がつかなかったのは、私の落ち度で恥ずかしいことだったが、
火吹き竹が目の前に出て来たのは、お客様も初めての事だったので、
座興にはなったと思って、自分を慰めている。

六代覚々斎の事として七代如心斎が話した中に、
風炉でも炉でも火相が悪ければ、火吹き竹を持ち出して、客の前で火を勢いづけたとあるそうだ。
それを聞くと、昔の家元宗匠方にもあった事だと何処となくうれしい。

私の子供の頃には、火吹き竹はどこの家庭にもあって、普通の物だったが、
今の若い方は初めて見る、珍しい物だったろう。

この火吹き竹は、利休形の寸法で、紫竹の自作したもの。

2021-4-4 修正

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2019年12月25日水曜日

布巾 雑巾 折り方

布巾、雑巾、手拭き、茶巾、みな表裏がない作りになっている。
片側は手前に折って、反対側は向うに折って、縫ってある。
どちら側を使っても良いようになっている。

但し、そのように作ってあっても、布巾と雑巾は表と裏を区別して竹釘に掛ける。
布巾と雑巾は、
二つ折りにし、四つ折りにし、八つ折りにし、更にもう一回折って、
折り目を竹釘に掛ける。

四つ折りにした状態では、布巾雑巾の縫い目だけが上に見える。
四つ折りにした時に、表と裏とを区別している。
留意して四つ折りにした方が良い。

折り方は、
二つ折りまでは一緒だが、四つ折りと八つ折りについては、
左側に掛ける布巾と右側に掛ける雑巾は、逆方向に折る。

左側に掛ける布巾は、左から右に向かって四つ折り、もう一度左から右に向かって八つ折りにする。
更に中央を折って竹釘に掛ける。

右側に掛ける雑巾は、右から左に向かって四つ折り、もう一度右から左に向かって八つ折りにする。
更に中央を折って竹釘に掛ける。

両方とも、中央に向かって折っている。
竹釘に掛けた状態では、
左に掛けた布巾の二つ折りの時の折り目は手前にあり、四つ折りの時の折り目は右側にあり、
右に掛けた雑巾の二つ折りの時の折り目は手前にあり、四つ折りの時の折り目は左側にある。



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2019年11月1日金曜日

点前 稽古 終りのお辞儀

稽古の点前では、始まりと終わりには全員でお辞儀をする。総礼とも言う。
点前の終わりでは、亭主は道具を膝前に置いてお辞儀をする。
拝見がある場合には、膝前に御三器を置いてお辞儀をする。

これは、茶道口の廊下が「畳敷き」の場合の事である。
「板張り」の場合には、道具を水屋に持ち帰って、改めて茶道口まで戻って、膝前には何も置かずにお辞儀をする。

畳敷きの場合は、道具を水屋に持ち帰らず、膝前に置いてお辞儀をしても良い事になっている。
当然、道具を水屋に持ち帰って、膝前に何も置かずにお辞儀をしても良い。

但し、膝前に道具を置いてお辞儀をするのは、稽古の場合の事であって、
茶事の場合には、膝前には何も置かずに挨拶をする。

下記も参照
2015年6月26日「拝見物を水屋に下げる 茶事


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2019年5月5日日曜日

茶カブキ 掛帛紗 男子の扱い

茶カブキ
客が入室する前に、
亭主は棚の上の茶カブキ盆に掛けた掛帛紗を外して、本茶の棗を入れ替える。

女の先生方は、男子が掛帛紗の外した後、どの様にして持ち帰るかをご存知ない方もおられるので、その方法を書いてみた。

掛帛紗
ワサを手前に横中央の折り目を山にして、茶カブキ盆に掛けておく。

掛帛紗の横中央の折り目の所を左右同時にとって、持ち上げる。
膝の上にとって、左側→右側の順に中側に折り畳む。
左膝脇に置く。

本茶棗を入れ替える。

掛帛紗を更に二つ折りにして、懐(ふところ)に入れて水屋に下がる。

女子は、懐が狭く、懐に入れられないので、左手に持って水屋に下がる。


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2019年5月3日金曜日

ギッチョ炭 名称由来

短い炭を「ぎっちょ炭(ぎっちょう炭)」と言う。
丸ギッチョ、割りギッチョの2種類ある。

ギッチョとは、妙な名前だなと思っていた。

馬に乗った競技者が、玉(毬)を棒で打って(又は掬って)、相手陣に入れる競技が、奈良・平安時代に唐から伝わった。
唐では、「打毬戯」と呼ばれた。
中央アジアに始まったものが、ヨーロッパに伝わって「ポロ」となり、
唐に伝わって「打毬戯」になった。

日本では、「打毬 だきゅう」と呼ばれ、初めは馬に乗って行われたが、徒歩で行われるようになり、又民間でも行われる様になり、更に江戸時代には子供の正月の遊びとなっていた。

なお、馬に乗って争う「打毬」も、今でも宮内庁その他に残っていて、行われている。

毬を打つ道具を「打毬杖 だきゅうじょう」と言う。
それが、「ぎっちょう・ぎっちょ」と言われるようになり、
漢字では「毬杖」「毬打」「毬枝」等と書く。

古くは、今のホッケーのスティックの形をしていたが、
後には、「ぎっちょう・ぎっちょ」は、柄の長い木槌(きづち)の形をしていた。
「ぶりぶりぎっちょう」、「玉ぶりぶり」とも言う。



その頭の部分に似ていることから、「ギッチョ炭(ぎっちょう炭)」と言う。

江戸時代には、彩色し、車輪を付け、頭の先端に柄を取り付けたものが正月の男の祝いの玩具として売られ、贈答用にも使われた。
頭の部分は、六角柱(又は八角柱)になっている。

その形が、香合に取り上げられ「ぶりぶり香合」として祝いの席などに使われている。



「左義長 さぎちょう」
小正月(1月15日)に行われる左義長(どんど焼き)も、「ぎちょう」に関連がある。
平安時代に、清涼殿前で青竹に毬杖(ぎちょう)を3本結んで火を点けて吉兆を占う行事があった。
三本の毬杖を結んだところから「三毬杖 さぎちょう」と言われた。
この行事が民間に伝わり、「左義長 さぎちょう」になった。


下記も参照
2015年3月3日「炭の寸法

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2019年4月21日日曜日

踏込床

床の面が座敷の畳面と同じ高さの床を「踏込床」(ふみこみどこ)と言う。

板床が多い。
畳敷の踏込床が、時代を下がると板床になっていった。
3代元伯宗旦の頃に、板床に工夫されて行ったようだ。

6代覚々斎原叟が好んだ「原叟床」及び
聚光院の「桝床」が有名。

原叟床、桝床は、四畳半の中に造られることが多い。

板床は、侘びの極致を表わすと共に、
客座の畳と板床の板の材質の違いによるメリハリを感じられる。




下記も参照
2015年7月22日 「板床


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2018年6月8日金曜日

炭 洗う 原料

炭は、炭の粉等を取り去る為に、使う前に洗って、乾燥させたものを使う。

亀の子タワシ等を使って、よく洗う。
火花が飛ばない様に、炭の粉をよく取り去る。
バケツに水道水を流しながら、水の中で洗えば宜しい。

但し、 炭は乾燥し過ぎたものより、少々湿気を帯びている方が、火持ちが良いと言われる。

お茶で使う炭は、「クヌギ」の炭である。
「椚」「櫟」とも書く。
「菊炭」とも言われるように、木口(切り口)には、中心から外側に向かって、
放射状に細かい割れ目がある。
この割れ目が均一で、菊の花のように綺麗になっているのが喜ばれる。

茶道用だけではなく、料理用暖房用も含めた日本の木炭の生産量は、年々減っている。
戦後すぐの昭和26年には、年間 220万トン生産されていたが、
平成28年には、僅か1万トンになってしまっている。
茶の湯炭の払底が言われているが、生産量の減少からも納得できる。

現在のクヌギ炭の生産地は、岩手県・栃木県・愛媛県が上位生産県と言われている。

江戸時代に有名だった、池田炭の生産地である大阪府、佐倉炭の生産地である千葉県の平成28年の木炭生産量は、大阪府10トン、千葉県8トンとなっている。
その内クヌギ炭の構成はどれ程であるか不明だが、クヌギ炭の生産量は推して知るべしである。

「茶の湯の炭は、矢張り池田炭だ」等と、クヌギ炭の良し悪しを言える時代ではなくなっている。
クヌギの炭だけではなく、カシやナラの炭も使わざるを得ない時代に突入している。


下記も参照
2015年3月3日「炭の寸法

2014-10-21「炭 事前に洗う」は、この記事に統合して、削除した。
2018-6-18 修正


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2018年3月16日金曜日

稽古 お辞儀 総礼 茶事(2)

お茶を習い始めた頃には、いつ誰に対してお辞儀するものやら、中々分からない。
いつの間にか自然に身についてくるが、お辞儀の意味が分かって来るのは、随分後になる。

点前の途中のお辞儀は何故しているのか再度書いてみた。

稽古であれば、
始めに、亭主役は、茶碗を膝前に置き、襖を開けて一礼、同時に客も全員お辞儀をする。
また、終りには、亭主は、水次薬缶を膝前に置いて、一礼、同時に客も一礼して、亭主は襖を閉める。
これは、稽古の始めと終わりの稽古人同士の挨拶である。
実際の茶事では行わない仕草である。

点前の途中のお辞儀は、お茶の稽古を始めた人には分かりにくい。
亭主がお辞儀をして、客がお辞儀を返す。
また、客がお辞儀をして、亭主がお辞儀を返す。
どちらにしろ、亭主と客は同時にお辞儀をしている訳ではない。

薄茶の場合、
(1)点前の始まりで、亭主は建水を持ち出し、蓋置に柄杓を引いた後、一礼する。
これは、膝の挨拶とも言い、客に向かって、「お楽にして下さい」と言っている一礼である。
亭主から「お楽にして下さい」と言われたので、客はそれを受けて、礼を返している。

(2)客は薄茶碗を取り込んだ後、「お茶を頂戴します」と一礼して、お茶を頂く。
亭主は客のその挨拶を受けて、「どうぞ」と礼を返している。

(3)正客は、連客にお茶が一巡した後、客にもう十分か尋ねてから、亭主に向かって、「お仕舞い」して頂く様に、一礼する。
亭主は正客のその挨拶を受けて、茶碗を持ったまま、軽く「分かりました」との礼を返す。

(4)亭主は、その後、茶碗を膝前に置いて、「それでは、お仕舞します」とキチンと一礼する。
客は全員で、亭主のその挨拶を受けて、「有難うございました」との礼を返す。
亭主の薄茶点前に対しての客全員からの感謝の一礼である。

濃茶の場合、薄茶との違いのみを書いてみると、
(5)正客が、濃茶と出帛紗を取り込んだ後、
次客側に、茶碗と出帛紗を置いて、正客は「お先に頂きます」と次客以下に一礼する。
次客以下全員は、「どうぞ」と礼を返す。

(6)正客が濃茶を飲んでいる途中に、
次客は三客に向かって「お先に頂きます」と一礼する。
三客は、「どうぞ」と次客に礼を返す。

(7)正客は濃茶を飲んだ後、茶碗と出帛紗を次客に送る。
正客は「お先に頂きました」と次客に一礼する。
次客は、「どういたしまして」と正客に礼を返す。

(8)客全員が濃茶を飲み終わり、茶碗と出帛紗の拝見も終わると、正客は茶碗と出帛紗を亭主に返す。
亭主が出帛紗と茶碗を取り込み、茶碗を膝前に置いた所で、
客全員は、「有難うございました」との一礼をする。
亭主の濃茶点前に対しての客全員からの感謝の一礼である。
亭主は、「どういたしまして」と客全員に礼を返す。

(9)亭主は茶碗をお湯でゆすいだ後、茶碗を膝前に置いて、
「お仕舞します」と正客に向かって一礼する。
客全員にではなく、正客に向かって言っている。
正客は、「有難うございました」と亭主に礼を返す。

(10)拝見があれば、正客が拝見を亭主に請い、亭主がそれを受ける事になる。
拝見物を返す時も同様に、正客が亭主に尋ね、亭主がそれに答える事になる。

何しろ、
亭主がお辞儀をして、客がお辞儀を返す。
また、客がお辞儀をして、亭主がお辞儀を返す。
亭主と客は同時にお辞儀をしている訳ではない。


下記も参照
2016年6月27日 「稽古 お辞儀 総礼 茶事
2015年3月14日 「お辞儀 一礼


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2018年2月16日金曜日

濡れ灰を作る 撒き灰 炉

炉の炭点前では、濡れ灰を撒くが、灰匙からサラサラと落ちる灰を作りたい。
奇麗であって、撒き易い灰を作りたいが、中々良い灰が出来なかった。
この5~6年は同じ方法で作っている。
同じやり方ではあるが、途中に色々試行錯誤を繰り返して、現在は今の方法に落ち着いた。

小さな「灰の球」を作る事を目指している。
以前は、小さな目の篩いを先ず通し、その後大きな目の篩いを通す等色々試したが、
現在は4mmの篩いを通すだけにしている。

(1)湿った灰を、桶から適当な大きさのボウル(料理用)に移す。



湿った灰には、塊がない方が良い。
湿り過ぎていない方が良い。(自分で試行錯誤が必要)

(2)湿った灰を入れたボウルを、円を描く様に廻す。
廻している内に、微細な灰の球が出来て来る。
廻す回数は数えていないが、50回~200回位ではないだろうか?
湿り気が足りないと思ったら、スプレーで霧を掛けてやる。



写真は、分かり易い様に大粒の灰の球にしているが、実際にはもう少し小さな粒の方が良いと思う。

(3)廻している内に、湿った灰の中から更に湿気が出て来る。
あまり湿気が出て来過ぎると思ったら、乾いた灰(風炉の灰で良い)を少しづつボウルの灰に振りかけて、更に廻してやる。



(4)適当に「灰の球」出来て来たと思ったら、篩いの上にボウルの中の「灰の球」を空けてやる。
篩いの目は、4mmの物を使っている。


(5)そして篩ってやると、「濡れ灰」の出来上がり。
乾いた灰を振りかけているので、湿り過ぎていない、適当に湿った「濡れ灰」が出来上がる。


(6)篩いの目を通らなかった湿った灰は、もう一度ボウルに戻して、塊や大きな灰の球をつぶして、上記を繰り返す。

(7)自分なりに何度か試行錯誤をすれば良いと思う。
1時間もあれば、炭点前10回分位は出来ると思う。


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2017年10月26日木曜日

風炉 台子(又は長板)一つ置き/大板 柄杓・蓋置

風炉
台子(又は 長板)一つ置き 及び 大板の時の柄杓・蓋置の扱い

台子または長板の一つ置きの場合

(始まり)
左手に柄杓を構え、
右手で蓋置(親指は蓋置正面)を、正面右向きにして風炉の左側手前(地板の上)に置く。
柄杓を右手に持ち直し、蓋置に真横(地板の上)に引く。

女子は、
柄杓を建水に戻し、右手に持った蓋置を左手の上で正面を直し、右手で置く。
柄杓を左手で取って、右手で蓋置に真横に引く。

台子(又は長板)の場合、
柄杓の節は、風炉の中央辺りに来る。

(終り)
水指の蓋を閉めた後、
拝見があっても、なくても、
湯返しをした柄杓・蓋置を先ず飾る。

先ず、右手で柄杓を取り、構える様に左手に持ち替え、右手で左手の少し上(節の少し上)を持ち、左手を柄杓の切り止め近くに下げて(横からではなく、上から持つ)、
左手で柄杓を地板の上、左側に、柄杓の合を仰向けにして縦に置く。
柄杓の柄の先は地板から少し手前(五分ばかり)に出る。

その後、蓋置を右手に取って、左手の上で正面を前になる様に持ち替えて、
柄杓の右側に置く。
柄杓の柄から蓋置一つ弱位見計らって離す。
蓋置の向う三分の一位が柄杓の節となる。

大板の場合

(始まり)
左手に柄杓を構え、
右手で蓋置(親指は蓋置正面)を、正面右向きにして大板左端に置く。
柄杓を右手に持ち直し、蓋置に真横に引く。

女子は、
柄杓を建水に戻し、右手に持った蓋置を左手の上で正面を直し、右手で大板左端に置く。
柄杓を左手で取って、右手で蓋置に真横に引く。

大板の場合は、
柄杓を蓋置に引くと、左右が柄杓ギリギリの幅であるので、柄杓の節は風炉中央辺りには来ない。少し右になる。

柄杓の節は、合を含めた柄杓全体の中央にはなく、合を除いた柄の中央あたりにあるからである。

(終り)
水指の蓋を閉めた後、拝見の有無にかかわらず、
先ず、湯返しをした柄杓を右手に取り、左手に構えて、
右手で蓋置を持ち(親指は蓋置の左横)、右を向いている正面を前に向く様にして、
風炉の左の空きの右側、少し奥に置き直す。

左手に持った柄杓は、台子の場合と同じ手つきをして、
左手で柄杓を大板の上、蓋置の左側に、柄杓の合を仰向けにして縦に置く。
柄杓の柄の先が、大板より少し手前(五分ばかり)に出る。
蓋置の向う三分の一位が柄杓の節になるが、風炉が大きい場合は、その限りではない。

通常、棚などに柄杓・蓋置を飾り残す時は、先ず柄杓を飾り、その後蓋置を置くが、
大板の場合、蓋置が邪魔になって柄杓を飾れないので、柄杓を構えながら、蓋置を置く事になる。

大板で柄杓・蓋置を飾った状態から点前を始める時も、柄杓を左手に構えながら、蓋置を置き直す事になる。

下記も参照

2016年5月11日 「風炉 大棚 長板
2016年1月11日 「柄杓を構える 左手 握り方
2015年10月18日 「風炉一つ置 茶器仮置き
2015年10月6日 「柄杓・蓋置 飾り残し
2015年10月1日 「風炉 大板(2)点前の始め
2015年10月1日 「風炉 大板(1)
2014年11月23日 「竹台子 一つ飾り
2014年10月21日 「柄杓と蓋置 扱い

2017-10-26 修正


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