2024年7月11日木曜日

炭点前 胴炭をつぐ順序 炉・風炉

 炭点前では 最初に胴炭からついで行くが、炉と風炉では順序が異なる。

炉の場合
炭斗に手を掛ける前に (炭斗を炉の近くに寄せる前に) 胴炭をつぐ。

風炉の場合
炭斗を風炉近くに寄せてから  胴炭をつぐ。


炭をつかみ始める時の火箸の扱い
炭斗を炉 (風炉) 近くに寄せる時、
男子は片手で、女子は両手で炭斗を動かすので、
炭をつかみ始める時の火箸の扱いは、男女で異なる。

男子
火箸を左手に持たせて 右手で炭斗を寄せるので、
火箸は膝横に突くことなく、左手の火箸を右手で掴むように握って、そのまま炭をつかむ。

女子
炭斗に火箸を戻してから 両手で炭斗を寄せるので、
火箸を炭斗から右手で取って、膝横に突いて掴むように握り直し、炭をつかむ。

2023年4月9日日曜日

旅箪笥 点前の終わり 柄杓を棚に掛ける

 旅箪笥の点前の終わりに柄杓を棚に掛ける(飾る)。
その順序が何種類かあるように感じられるが、実は同じ順序になっている。
薄茶で水指を引き出して使う場合が基本となっている。
小棚で柄杓蓋置を飾る場合と何ら変わりはない。

(Ⅰ)薄茶 水指を引き出して使う場合(基本になる)
(1)点前の終わりになったら、
(2)水指から釜に水を足す。
(3)釜の蓋を閉める。
(4)柄杓を蓋置に引く。
(5)水指の蓋を閉める。
(6)柄杓を左手で旅箪笥の上棚板の切り込みに掛ける。
(7)蓋置を左手に載せて棚正面に廻る。
(8)蓋置を棚底板の柄杓の柄の手前に置く。
(9)茶碗を仮置きして、茶器を中棚板に飾る。
(10)建水と茶碗を水屋に持ち帰る。
(11)水次ヤカンで水指に水を足す。(水指は畳の上に下ろす)
(12)旅箪笥の戸を閉める。
(13)水次ヤカンを水屋に持ち帰る。

(Ⅱ)薄茶 芝点の場合
基本になる水指を引き出す場合と同じ順番で出来ない部分だけを少々変えている。
(1)点前の終わりになったら、
(2)水指から釜に水を足す。
(3)釜の蓋を閉める。
(4)柄杓を蓋置に引く。
(5)水指の蓋を閉める。

*ここで柄杓を旅箪笥に飾りたいが、中棚板を外に出しているので、柄杓を掛けてしまったら、中棚板を旅箪笥に戻せなくなってしまう。
よって、

(6)外に出している中棚板を旅箪笥に戻す。
(7)柄杓を左手で旅箪笥の上棚板の切り込みに掛ける。
(8)蓋置を左手に載せて棚正面に廻る。
(8)蓋置を棚底板の柄杓の柄の手前に置く。
(9)茶碗を仮置きして、茶器を中棚板に飾る。

(Ⅲ)薄茶 下棚板を上棚板に載せる場合
芝点の場合と変わりはない。
柄杓を旅箪笥に飾る前に、中棚板を元の位置に戻すことになる。

基本の水指を引き出して点前を始める場合と何ら変わりなく点前を進めている。

(Ⅳ)濃茶の場合
引き出してある水指の前に茶入を置いて点前を始めるのは、薄茶の基本の場合と変わりないが、
点前の終わりには、上棚板の切り込みの位置に仕服を仮置きしているので、水指の蓋をした後すぐに柄杓を旅箪笥に飾ることが出来ない。
よって、
一度 柄杓蓋置を建水に仮置きしておいて、仕服(茶入茶杓も)を拝見に出した後、柄杓蓋置を旅箪笥に飾ることになる。

どの場合でも、小棚に柄杓蓋置を飾る場合と順序は何ら変わることはない。

下記も参照
2021年4月1日 旅箪笥 中棚の3通りの扱い 薄茶 炉
2021年4月9日 旅箪笥 柄杓蓋置飾り残し 棚板 炉
2022年4月26日 旅箪笥の戸 薄茶器拝見の場合の扱い 炉

2023年3月2日木曜日

茶事の箸、黒文字など

茶事の箸、黒文字など

膳の箸(長さ 8寸5分)は、右側を膳の端に掛けて、左側を膳の中に落として置く。

箸は右上左下の斜めにして、膳に置く(掛ける)ことになる。

利休形の膳の箸は、杉で作り、長さ8寸5分、両端に向かって少し削って細くしてある。


客も、食事中の箸の置き方は同じにする。

使っている途中で、箸の左端の下に懐紙を敷く人もいるが、私は必要ないと思っている。


(理由)

膳は汚い物ではない。

食べている箸先が汚れているから、それを気にするのだろうが、膳が汚れたのなら、最後に軽く懐紙で拭いておけば良い。


言うまでもないが、

懐石の最後に箸を落とす時には、箸全体を膳の中に落とす。

膳が丸くて、手前にスペースがない時には、器を動かして膳の中央の広い部分に落とす。


八寸盆でも、青竹の両細(長さ 8寸5分)は同じ様に左端を落して置く。


焼き物では、青竹の両細(長さ 8寸5分)は、器の端から端に水平に置く。


鉢類も、白竹の両細(長さ 8寸5分)は縁に水平に置く。


強肴を小さな器に入れて出す時には、杉の箸(長さ 6寸)は水平に置く。


菓子を縁高で出す場合、

黒文字(長さ 6寸)は蓋の上に載せて出す。

客は一段取って置いた時には、黒文字は右側を端に掛け、左側を縁高の中に落とす。


喰籠に菓子を入れて出す時には、

黒文字(長さ 6寸)は蓋の上に載せて出す。

客は蓋だけを次客に回す場合には、黒文字は喰籠の身の縁に水平に載せて回す。


なお、喰籠の蓋だけを次客に回す事はお勧めしない。

茶事の時は特に注意すべきである。

身と蓋は一緒の物だからである。

身に蓋をして一緒に回しても、それによってどれ程 時間が長くなる訳でもない。


菓子を鉢に入れて出す時も、

黒文字(長さ 6寸)は縁に水平に置く。

鉢が大き過ぎてどうしようもない時は、左側を落としても仕方ないだろうが、

出来たら、斜めに置く等水平にする工夫をすべきだろう。


ぜんざい等を菓子として出す時には、杉の箸(長さ 6寸)1本と黒文字(長さ 6寸)1本を一膳(1セット)にして、水平に置く。


小さな丸盆にぜんざいの椀を載せて一人づつに出す時には、右側を縁に掛け 左側を盆に落して置く。


昔は、菓子に黒文字を付けて出された時には、客は黒文字を持って帰ったらしい。


同じく、杉の箸1本と黒文字1本を一膳(1セット)にして付けられた時には、杉箸は折って菓子器に入れて返し、黒文字は持って帰ったらしい。


昔は、黒文字はその茶事の為に亭主が自分で削っていたから、客は頂いて帰ったのだろうが、現在では亭主は黒文字を買っており、使い回しているので、返すべきだと思う。

杉箸も折らずに返すべきだと思う。


当然だが、

杉でも竹でも、水に漬けて濡らして、軽く押さえ拭きして出す。

茶事であったら、濡らした箸や黒文字を、濡らして絞らないままの布巾の間に入れて置いて、必要に応じて出して使ったら宜しい。


黒文字も、手に入るのであれば先が矢筈に切ってある物が良い。

矢筈の黒文字(6寸)が表千家流。

強肴などに使う杉箸(長さ 6寸)も同様に表千家では先を矢筈に切った物を使う。


黒文字や杉の箸の形・置き方は、流儀によって違いがあるようだが、上記は表千家流の方法となる。



以上


2022年10月7日金曜日

掻き上げ灰 風炉

 風炉の終りの名残りの季節に鉄前欠き風炉などにする。

筋は外側(風炉の壁側)から灰の峰に向かって火箸で掻き上げる。
間隔は適当で良いが、等間隔にする。
五徳の爪の幅を見ながら、適当な間隔にすれば良い。

掻き上げた灰が、筋の両側に盛り上がり、灰の峰を下るあたりに溜まっているのが風情がある。
峰の内側にこぼれた灰はそのままにしておく。
わびた灰形なので、意識した手を加えない方が良い。

火箸1本を定規代りにして、もう1本の火箸で掻き上げる。
等間隔になりづらく、斜めになり易いので、前もって峰の外側に火箸で点を打っておくと良い。
場合によっては、風炉の壁側にも打っておくと良い。



2022年8月3日水曜日

茶碗を出す 向き

 お茶を点てたら、茶碗の正面を客に向けて出すが、
出す茶碗の向きは、炉の場合も風炉の場合も同じで、真正面に向けて出す。
斜めに向けて出すことはない。


客が茶碗を返す場合も同じ。

2022年5月31日火曜日

稽古と茶事との動作の違い

稽古での動作と茶事の時の動作は違う事がある。 

稽古は、茶事の為の稽古だが、 茶事の時には稽古の時と全く同じ動作をする訳ではない。 稽古は稽古である。

特にお辞儀については、勘違いしている人も多いと思う。

(1)稽古では、
点前の始まりに、亭主は茶碗などを膝前に置いて、亭主と客は同時にお辞儀をする。
これは稽古の動作であって、稽古人同士が、これから稽古を始めますの挨拶である。

(2)茶事であれば、
亭主は茶道口で茶碗を前に置いて点前を始めます等のお辞儀はしない。
初座の始まりに亭主と客はお辞儀を交わし挨拶をしているので、後座の濃茶点前の始まりに再度挨拶をする事はない。
亭主は、茶碗を前に置いて襖を開け、お辞儀はせずに、そのまま立って茶室に入って点前を始める。

(3)初座ではあるが、炭点前の場合も同じで、
亭主は炭斗を取りに水屋に戻ったら、
炭斗を持って立ったまま茶室に入って炭点前を始めれば良い。

(4)初座ないし後座の始めに客は茶室に入るが、その入る時も同じで、稽古と茶事では違いがある。
稽古では、茶室に入る時には、客は襖を開けてお辞儀をする。
これは、これから稽古をさせて頂きますのお辞儀である。
柔道剣道で道場に入る時にするお辞儀と同じである。

(5)茶事で、客が茶室に入る時には、扇子を前にし襖を開けて、茶室の中をうかがい、その後茶室に入る。
お辞儀をしている訳ではない。
中の様子をうかがっているのである。

(6)お辞儀は、
AがBに対して何かの挨拶でお辞儀をし、
それに対して、
BがAにどう致しまして等のお辞儀を返す。
AとBが同時にするお辞儀はない。

(7)総礼と言われる亭主と客が同時にするお辞儀は、稽古だけのものである。
客一同が一緒に亭主に向かってするお辞儀(薄茶のお仕舞の挨拶など)はあるが、
亭主と客が同時にする総礼は、茶事ではない。


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2022年4月26日火曜日

旅箪笥の戸 薄茶器拝見の場合の扱い 炉

旅箪笥

通常の点前の場合は、水指に水を差し加えた後、すぐに旅箪笥の戸を閉めるが、
続き薄茶点前または薄茶点前の場合に、終りに拝見がある場合、
水指に水を加えた後、水指を旅箪笥に戻して、戸を閉める事なく、水次ヤカンを持って戻り、ヤカンを前にフスマを閉める。

拝見の物(続き薄茶点前の場合はご三器と薄茶器。薄茶点前の場合はご両器)を取りに出る。

主客挨拶応答の後、薄茶器を右手で取り、左手に載せて棚正面に回り、右手で中棚に戻す。
この後すぐに、旅箪笥の戸を取り、戸を閉める。
再び客付正面に回り、ご三器ないし茶杓を取り退出する。


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