2022年5月31日火曜日

稽古と茶事との動作の違い

稽古での動作と茶事の時の動作は違う事がある。 

稽古は、茶事の為の稽古だが、 茶事の時には稽古の時と全く同じ動作をする訳ではない。 稽古は稽古である。

特にお辞儀については、勘違いしている人も多いと思う。

(1)稽古では、
点前の始まりに、亭主は茶碗などを膝前に置いて、亭主と客は同時にお辞儀をする。
これは稽古の動作であって、稽古人同士が、これから稽古を始めますの挨拶である。

(2)茶事であれば、
亭主は茶道口で茶碗を前に置いて点前を始めます等のお辞儀はしない。
初座の始まりに亭主と客はお辞儀を交わし挨拶をしているので、後座の濃茶点前の始まりに再度挨拶をする事はない。
亭主は、茶碗を前に置いて襖を開け、お辞儀はせずに、そのまま立って茶室に入って点前を始める。

(3)初座ではあるが、炭点前の場合も同じで、
亭主は炭斗を取りに水屋に戻ったら、
炭斗を持って立ったまま茶室に入って炭点前を始めれば良い。

(4)初座ないし後座の始めに客は茶室に入るが、その入る時も同じで、稽古と茶事では違いがある。
稽古では、茶室に入る時には、客は襖を開けてお辞儀をする。
これは、これから稽古をさせて頂きますのお辞儀である。
柔道剣道で道場に入る時にするお辞儀と同じである。

(5)茶事で、客が茶室に入る時には、扇子を前にし襖を開けて、茶室の中をうかがい、その後茶室に入る。
お辞儀をしている訳ではない。
中の様子をうかがっているのである。

(6)お辞儀は、
AがBに対して何かの挨拶でお辞儀をし、
それに対して、
BがAにどう致しまして等のお辞儀を返す。
AとBが同時にするお辞儀はない。

(7)総礼と言われる亭主と客が同時にするお辞儀は、稽古だけのものである。
客一同が一緒に亭主に向かってするお辞儀(薄茶のお仕舞の挨拶など)はあるが、
亭主と客が同時にする総礼は、茶事ではない。


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2022年4月26日火曜日

旅箪笥の戸 薄茶器拝見の場合の扱い 炉

旅箪笥

通常の点前の場合は、水指に水を差し加えた後、すぐに旅箪笥の戸を閉めるが、
続き薄茶点前または薄茶点前の場合に、終りに拝見がある場合、
水指に水を加えた後、水指を旅箪笥に戻して、戸を閉める事なく、水次ヤカンを持って戻り、ヤカンを前にフスマを閉める。

拝見の物(続き薄茶点前の場合はご三器と薄茶器。薄茶点前の場合はご両器)を取りに出る。

主客挨拶応答の後、薄茶器を右手で取り、左手に載せて棚正面に回り、右手で中棚に戻す。
この後すぐに、旅箪笥の戸を取り、戸を閉める。
再び客付正面に回り、ご三器ないし茶杓を取り退出する。


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2022年4月24日日曜日

釣り釜 炭点前 鎖を扱う時機

 釣り釜は、現在では風炉に替る前の春の終わり頃のものとして使われているが、昔は春と限らず炉の期間を通して使われていたらしい。
かすかに釜が揺れているので風情がある。

鎖の上げ下げの基本は、

(1)釜を炉から上げたり、炉に掛けたりする時は、鎖を二目上げて行う。

(2)炉に灰をまき、炭をつぐ時には、更に鎖を二目(初めより四目)上げて行う。

炭点前の始まり、
釜の蓋を閉め、釜敷を置いたら、
弦の中央を左手で下から支えて少し持ち上げ、鎖の細い掛けカギを右手で二目上げる。
釜を炉から上げる。
釜を定位置に置いたら、炉正面に戻って、
鎖の下の太い蛭カギを左手で受けて持っておき、鎖の細い掛けカギを右手で更に二目上げる。(初めの位置から四目)
炭をつぎ、香をたいて、香合を拝見に出したら、
上げた時と同じ手つきで、細い掛けカギを二目下げる。
釜を太い蛭カギに掛ける。
上げた時と同じ手つきで、細い掛けカギを更に二目下げる。(初めの位置に戻る)

釜の二つの鐶付が炉壇と平行になっていない場合、

鎖の下の太い蛭カギの向きが正しくないので、
蛭カギと鎖をつないでいる繋ぎ目の部分を動かして調整してやる必要がある。
蛭カギと鎖のつなぎ目の部分が釜の向きを止める役目をしている。


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2022年3月31日木曜日

炭斗 羽箒 火箸 香合を下ろした後 鐶と枝炭 炉

 炭点前の始まりに、
「イチ 羽根、ニ 火箸、サン 香合」と言うように、羽箒、火箸、香合を炭斗から下ろす。

後の物(鐶や枝炭)は邪魔になる場合に下ろす。
通常の炭斗の場合は、火箸に鐶が掛かっているので、鐶を下ろす。
火箸に鐶を掛けていない場合は、鐶は下ろさない。
枝炭も邪魔になるかどうかで、下ろすか下ろさないかが決まる。

炭台や平炭斗の場合は、
鐶は火箸に掛けておかないので、下ろさない。
枝炭も炭点前の途中に特に邪魔になる事もないので、下ろさない。
炭台や平炭斗の場合は、枝炭を下ろさないので、灰器に枝炭を仮置する必要がない。
よって、灰をまいた後、灰器は炭斗の右横に仮置することはなく、すぐに身体の右後ろに戻す。

風炉の場合は、
膝横の空きが少ないので、枝炭は下ろさない。
風炉中置の場合の様に、火箸を下ろさない事もある。


下記を参照
2019年6月2日 「平炭斗 炭点前 炉(2)
2018年12月20日 「平炭斗 炭点前 炉
2015年1月7日 「炭台 炭点前 炉
2015年1月7日 「炭台 炭その他の配置


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2022年2月21日月曜日

結び柳

 正月(初釜にも)の床飾りに使う。
掛け柳とも言う。
表千家家元令和4年の初釜では、青竹の花入を掛けて、白椿に結び柳を添えて生けられていたようだ。


結び柳の起源は、諸説あるがよく分からない。

利休が、秀吉から拝領の柳を花入に入れた時、柳の先が畳につかない様に丸めて生けたとの話しがある。

又、利休が送別の茶事の時、唐物置き花入に柳を結んで入れたとの話しもある。

中国の話しとして、古く「折柳(折楊柳)」と言って、柳の枝を結んで旅立つ人に贈る習慣があった。
これが結び柳の起源との説もある。

輪にする→環(カン)→還(カン)→帰る に通ずることから、柳の枝を輪にして贈った。
柳:シダレヤナギ、楊:カワヤナギ(ネコヤナギを言うこともある)

唐詩選に、張喬の「寄維揚故人」と題する七言絶句があり、
( 維揚(現 揚州市)で旧友と別れる時の詩 )
( 張喬:唐末の詩人。唐 昭宗の大順年間(890年頃)の進士との説がある。)
その第一句に「 離別河邊綰柳條 」とある。
(離別河の辺りで、柳の枝を輪にする)

また 折柳の意は、「還」とは全く関係なく、旅人が旅に疲れて魂を失散させないように、しっかりつなぎ留める様にとの意味とも言われる。

「結び柳」は、そもそも 中国の故事である「折柳」とは、全くの無関係であるとの説もある。

結局、結び柳の起源はよく分からない。



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2022年1月28日金曜日

菓子 棹物 切り方

羊羹にしろ何にしろ、
棹物の菓子を切って出す場合

切り口を上にして、切り口を見せて出す。

客の人数による菓子の数の調整も やり易い。



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2021年12月22日水曜日

五徳を据える 炉

炉に釜を掛けるには、灰を入れて、多くの場合五徳を据える。

広間であれば、多くは本勝手・上座床に作ってある。
五徳の爪の一本を左の方 床の方に向け、二本の爪の方を右側の炉壇の壁にくっつけて据える。
つまり、五徳は炉の中心ではなく、少し右に寄って据える事になる。

釜は炉の中心に掛けるので、釜の中心と五徳の中心は同じ場所にあるのではなく、
釜の中心より五徳の中心が少し右にずれている。

よって、釜と五徳の大きさにもよるだろうが、五徳の一本爪と残りの二本の爪は高さが違ってくる。
普通、一本爪の方が低くなる。


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