2015年4月25日土曜日

小間 茶道口 立って入る時

小間の茶道口は、小さく作ってある。

高さも低く出来ている。

立ったまま出入りするには、背を屈める必要がある。

その為には、
頭を下げて(前に倒して)、出入りする事。

膝を曲げて、背を低くしない。

表千家家元の小間の席の茶道口等の高さは、下記寸法。

不審菴 茶道口 5尺8分 (約154cm)
      躙り口 2尺2寸6分 (約68cm)

祖堂  茶道口 5尺2寸7分 (約160cm)
     躙り口 2尺3寸 (約70cm)

反古張席 茶道口 5尺1寸3分 (約155cm)
       貴人口 3尺5寸3分 (約107cm)




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2015年4月20日月曜日

下座床 濃茶 客 茶碗と出し帛紗

下座床で、濃茶を頂く時、出帛紗を茶碗のどちら側に添えるか。

普段は上座床で稽古をしているので、下座床で濃茶が出てくると戸惑ってしまう。
千家流では、床に近い位置に正客が座るので、上座床・下座床によって、正客と次客の位置関係が逆になるからである。

上座床では、正客の左手側に次客が座る。
下座床では、正客の右手側に次客が座る。

出帛紗の上に茶碗を載せたまま次客に茶碗を手渡す男子には関係ないが、
茶碗の横に出帛紗を添えて次客に送る女子の場合、茶碗のどちら側に出帛紗を添えるか迷う所である。

女子の客が濃茶を頂く場合、(男子でも、次客が女子の場合)

確認の意味で、上座床の場合、
茶碗の左側に(下座側に)出帛紗を添えて次客へ送る。
膝前で、茶碗の飲み口を拭く場合も、茶碗の左側に出帛紗を置く。
拝見後に、出会いで末客が正客に茶碗を返す場合も同じ。

折っている出帛紗は、手前と右側に折り目がある。

飲み回した茶碗を正客が亭主に返す時だけは、
亭主から見て、茶碗の右側に(下座側に)出帛紗を置く。
出帛紗の折り目に変更はなく、亭主から見て、手前と右側にある。

さて、下座床の場合には、
飲み回した茶碗を亭主に返す時と、次客に茶碗を送る場合には、
茶碗の右側に(下座側に)出帛紗を置く。
亭主から見て右側に、次客から見て右側に出帛紗を置く。

茶碗を亭主に返す時は、上座床の場合と同じにすれば良い。亭主から見て茶碗の右側に出帛紗を置く。
出帛紗の折り目にも変更はなく、亭主から見て、手前と右側にある。

次客に茶碗を送る時には、茶碗の右側に(次客側に、下座側に)出帛紗を置く。
出帛紗の折り目にも変更はなく、手前と右側にある。

他の場合には、上座床と同じで、左側に出帛紗を置く。

出帛紗の折り目は、上座床の場合と同じで、手前と右側にある。

但し、最初に正客が次客以下に対して、「お先に」の一礼をする時、
茶碗の次客側(下座側、右側)に出帛紗を置いてもよい。

又は、
茶碗の左側に出帛紗を置いて「お先に」の一礼をしてもよい。

濃茶を飲んだ後、飲み口を拭く時などでも、茶碗の右側に(下座側に)置いてもよい。


平成29-4-9 修正
平成30-1-10 修正


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2015年4月12日日曜日

牙蓋 「す」 茶入の蓋

茶入の蓋は、象牙で出来ている。「牙蓋」(げぶた)と言う。

象牙は、上顎の前歯が発達した物である。犬歯が発達した物ではない。

牙蓋には、「す」(細い窪みの線)が入っている物がある。
「虫くい」とも言う。

茶杓を置く側の反対側に「す」が来る様に、茶入に蓋をする。
茶杓は釜付きに乗せるので、釜付きではない方に、牙蓋の「す」はある。

本勝手であれば、
炉では、牙蓋の左側に「す」があり、
風炉では、牙蓋の右側に「す」が来る。

傷の様に見えるが、これは象牙の「髄」だそうだ。
人間の歯で言えば、血管や神経が通っている所になる。
1本の象牙の先1/3位の部分から髄は細くなって、先の部分は髄はないらしい。

この細い髄を「す」として牙蓋に取り入れてある。
大変貴重な物である。

人工的に細工して「す」を作ってある物もあるので、要注意。
安物買いの銭失いにならない様に。

ちなみに、輪切りにすると、象牙には年輪の様な模様が付いている。
髄を中心として、目の細かい年輪模様が付き、外に行けば段々粗い年輪模様になっている。

昔の物であれば、インド象の象牙であるが、今は輸入禁止になっている。
少量だが今輸入されている象牙は、アフリカ象の物である。

象牙の蓋にも、「本象牙」「人工象牙」「プラスチック」の3種類ある。

「本象牙」には、
細かい筋になった模様が付いている。
高級な物は極く細かい筋模様、安物は粗い筋模様。切り取った部所による。
輪切りにすれば年輪模様だが、「す」入り牙蓋は輪切りには取らないので、年輪模様にはならない。

「人工象牙」にも、
細かい筋の模様が付いている。
但し、模様が規則的になっている。
本象牙であれば、人間の指紋の様に規則的ではない。

「プラスチック」は、見るからにプラスチック。


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2015年4月7日火曜日

正客の席 表千家 上座床・下座床

千家流では、
茶席に於いて、正客が座る席は、「床」の近くである。

畳の敷き方、茶道口、客が入る口が同じ位置にあっても、床の場所が変れば、正客の座る席は変る。

広間であれば、
床の前の畳(貴人畳)を遠慮した上で、床に近い所に座る。

座った直ぐ前に貴人畳があって、自席への出入りに貴人畳を通らなければならない場合は、その半畳は避けて、次の半畳から座る。

残月亭(写でも)では、残月床の前の二畳は遠慮して座らない。次の畳から座る。

亭主から勧められた場合は、その限りではなく、勧められた場所に座る。
但し、勧められる迄は、人数が多くても、遠慮しておく。

小間では、
貴人畳は無いので、床の近くに座る。

小間の床が「壁床」の場合、
初座の「掛物を掛けてある壁」と後座の「花を掛けてある壁」が異なる場合がある。
掛物又は花を掛けてある壁が床であるので、初座と後座で正客の席が替わる事になる。

千家流に茶室を作ってあれば、
小間であっても、正客が床を背にして座る事はない。
床を横にして座る事が多い。

上座床であれば、
次客は、正客の左手の位置に座る。

下座床であれば、
次客は、正客の右手の位置に座る。

流派によっては、茶道口から離れた席が正客の席と決っている場合もある。
その場合は、上座床・下座床にかかわらず、正客の席は決っている。




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2015年4月1日水曜日

菓子と黒文字 茶事

茶事の懐石の最後には、菓子(重菓子)が出される。

茶事では、縁高に菓子を入れて、人数分の黒文字を付ける事が多い。

一例を上げれば、

客五人に三段の縁高に菓子を入れる場合、
下の段に、正客の菓子一個、
中の段と上の段に、各々菓子二個を入れて、
蓋の上に人数分(五本)の黒文字を付ける。




正客に縁高(菓子)が出されたら、

正客は、上2段を少しずらして下段に黒文字1本を落し入れ、上2段を次客に送る。
次客は、次客・三客用に黒文字2本を中段に落し入れ、上段を四客に送る。
四客は、蓋を取り、四客・詰用に黒文字2本を落し入れ、黒文字1本で菓子を懐紙に取り込み、黒文字は懐紙に預ける。

客全員懐紙に菓子を取った所で、正客は「ご一緒に頂きましょう」等の挨拶をして、菓子を全員で頂く。次客以下は、「お相伴します」。
黒文字を使って菓子を頂く。
但し、饅頭は黒文字を使わず、手で割って頂く。

菓子を頂いた後、黒文字を懐紙に包み、縁高に入れ、正客から次客へ送る。
次客は、黒文字を入れ三客へ送る。
三客は、正客の段の上に中段を載せ、黒文字を入れて四客に送る。
四客も同じ様にして、詰に送る。
詰は、蓋をした上段を上に載せて、縁外に預かる。

縁高は、中立で退席する時に、茶道口前に返す事になる。

縁高にも前後がある。綴じ目が後ろになる。

又は、
菓子と黒文字を懐紙に取った後、菓子を頂く前に、縁高を詰に送ってもよい。
その場合は、菓子を頂いた後に黒文字だけを詰に送る事になる。
この方法が、昔風と言える。

昔は、
黒文字は、茶事毎に亭主が削って出していたので、客はその亭主の心を汲んで、黒文字は頂戴して帰ったもの。

現代では、黒文字は購入する物で、複数の茶事に使い廻す物になっており、
又、特に生木で出来た黒文字は、注文してもスグに手に入らない場合もあるので、
黒文字を客が持って帰ると、亭主は次の茶事に黒文字が足りなくなる場合も出てくる。

客は、その点も考慮して、黒文字は器と共に返すべきである。


下記も参照
2015年2月6日 「お茶と菓子
2014年10月21日 「稽古 煙草盆と菓子器の運びだし お辞儀
2014年10月13日 「菓子器と蓋 扱い
2014年10月13日 「菓子を頂く時の懐紙の使い方

黒文字を懐紙に包むやり方の一例


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