2020年8月30日日曜日

利休 染付茶碗は使わなかった

四代 江岑の話として、

利休は、小間の侘茶では「染付茶碗を使わなかった」とある。

 

利休が「紀三井寺」と言う染付茶碗を褒めていたので、

山上宗二がそれを手に入れたが、利休の侘び茶の道具組には染付茶碗の入る余地がないと合点して、山上宗二は割ってしまったと言う話しが残っている。

 

利休の道具の取り合わせは、厳しかった。

茶碗は長次郎の楽茶碗、茶杓は中節の竹茶杓、花入は竹の尺八や一重切り、木地の建水、竹引切の蓋置と見ていくと、

唐物の名物道具とは一線を隔てている

 

長次郎の茶碗を見て判る様に、

利休の好みは、形は歪んでいるがそれを感じさせない端正さ、色は地味。

一つ一つ独立して鑑賞するより、道具の取り合わせによって、ある美しさを創り出すようになっている。

利休は、目の感覚でなく、心の内面に美しさを生み出す内向的な性格の美を求めていた


必然的に、自分が創り出した侘の美しさの調和を壊すものは排除した。

染付茶碗を使わなかったのも当然と思われる。


利休所持 長次郎作 銘 禿(かむろ)写し









2020年7月30日木曜日

風炉 花(木槿、芙蓉、水引) 切り方

風炉の時季の花 留意点

1.風炉の代表 「木槿」
ムクゲは一日花と言われるが、実際は一日半咲いている。
朝、ムクゲの花を取りに行くと、昨日の花か今朝咲いた花か区別がつかない。
昨日の花であれば、お昼にはもう萎れて来る。
明日の朝、花を切ろうと思ったら、今日の内に次の事をやって置く。
明日の朝咲く可能性のある蕾の周りに咲いている花を落としておく。

2.「芙蓉」
フヨウは本当の一日花である。朝咲いて夕方しぼむ。
フヨウは、切られた傷口を自分で修復しようとする。
フヨウを切って水につけずにそのまま放っておくと、
翌日 前日の蕾が開いて花になる。
切られた傷口からゼリー状の液が出て、傷口からの水の発散を止めるからである。
茶花として使う時、それが逆に邪魔になる。
水につけてもゼリーが邪魔をして、水揚げをしないからである。
フヨウを使う時には、切った後、水につけておき、
時々切り口を指で拭ってゼリーを取ってやる。
3~4回取ってやると、ゼリーが出なくなる。
それだけ留意すると、萎れることがない(少ない)。
それでも萎れる場合があるので、予備も含めて2~3本取っておく。
傷口を焼けば良いらしいが、私はやった事がないので、焼き方は分からない。

3.「水引」
ミズヒキも水揚げが難しい。
ミズヒキの先端が萎れて垂れ曲がってくる。
ミズヒキの茎には節があるが、そのフシの部分を切ってやると、水揚げしやすい。
高さの調整が難しいが、仕方がない。

利休所持 唐金鍔つば細口花入 写し



2020年6月30日火曜日

膝の上で茶碗を扱う 亭主

点前の途中で

膝の上で、茶碗を温めたり、茶碗を拭いたりする時、
茶碗は高く持たない。
少し低めに持つ。

拭いたりする時、極端に斜めにして拭かない。
水平に近く持つ。

以上

2020年5月8日金曜日

火吹き竹

火吹き竹(ひふきだけ)

炭の火が上手く点かなかった時に使用する。
表千家では点前の中では使うことはない。
利休形がある。
直径:8分(約2.4cm)
長さ:9寸8分(約29.7cm)
中の節は、口から3寸(9.1cm)
下は節止めになって、小穴を開けてある。




今年の1月と2月の茶事で、炭点前の火が2度上手く点かなかった。
懐石の終わり頃、炉の火が静まり返っていたので、
懐石の後、菓子の前に炭斗に火吹き竹を入れて持ち出し、
お客の前で釜を上げ、火吹き竹で吹いて炭の火を起こした。
炭に火がつかなかったのは、私の落ち度で恥ずかしいことだったが、
火吹き竹が目の前に出て来たのは、お客様も初めての事だったので、
座興にはなったと思って、自分を慰めている。

六代覚々斎の事として七代如心斎が話した中に、
風炉でも炉でも火相が悪ければ、火吹き竹を持ち出して、客の前で火を勢いづけたとあるそうだ。
それを聞くと、昔の家元宗匠方にもあった事だと何処となくうれしい。

私の子供の頃には、火吹き竹はどこの家庭にもあって、普通の物だったが、
今の若い方は初めて見る、珍しい物だったろう。

この火吹き竹は、利休形の寸法で、紫竹の自作したもの。

2021-4-4 修正

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2020年4月19日日曜日

お茶湯 炉

お茶湯(おちゃとう) 炉
座敷飾りの中で、佛様にお茶を供える時に行う。
利休忌などに行う。

茶筅を使わない。
お湯を入れた茶碗に、お茶を落とすだけにする。

床には、利休忌であれば利休画像などを掛け、
前に花台(薄板などでも)を置き、花台中央に花入れを置き、花を供えておく。

お茶湯では、棚を使う。
棚の天板に、天目台に天目茶碗を載せて、飾っておく。

点前をする人は、茶器と茶碗を一緒に持って出る。
棚前に座り、茶器・茶碗を置きつける。
柄杓・蓋置を仕組んだ建水を持ち出して、いつもの通りに点前を進める。

常の通り、
茶器を清めて定所に置き、茶杓も清めて載せ、茶筅も置き、
茶碗を寄せる。
茶碗から茶巾を取り出し、釜の蓋の上に置いたら、
お湯を一杓汲んで茶碗に入れる。

茶筅を取って、茶碗の中で一つ回して落とし、
茶筅を茶碗の中に入れたまま、
両手で茶碗を持ち、居前のままで、建水の先に両手で置く。

身体を棚正面に廻り、
両手で茶碗の載った天目台の羽根を持ち、持ったまま居前に戻る。
天目台を膝前に置く。

湯を一杓汲んで、天目台に載った茶碗の中に入れる。
柄杓は釜の口に戻す。

両手で茶碗を取り上げ、ゆっくり回して温める。
両手で茶碗を建水の上に持って行き、お湯を捨て、
両手で茶碗を天目台に戻す。

お湯を一杓汲んで、適量を茶碗に入れる。
茶杓・茶器を取って、お茶を二杓お湯の上に落とし入れ、
茶杓の先を茶碗の内側で、軽く二度打ってお茶を払って、
茶器の蓋をして、茶器・茶杓を元に戻す。

茶碗の載った天目台の羽根を両手で持って、
持ったまま、身体を客付き正面に廻す。
持ったまま、天目台を丸廻しして、定所に出す。

女子は、
天目台をいつもの様に右膝横に仮置して、
身体を客付き正面に廻し、丸廻しして定所に出す。

正客は、
いつもの様に、天目台を取りに出て、
両手で天目台の羽根を持って、持ち上げ、
右手を茶碗に添えて、一膝くって立ち、床前に進む。

正客は、床に近く座り、茶碗が載った天目台を、花台の前に仮置する。
花入れを少し左に寄せ、
天目台の羽根を持って持ち上げ、丸廻しして、
花入れの右横に供える。

正客は、座ったまま、少し下がり(膝前8寸(24cm)位)、
一礼する。
同時に、点前の人・残りの客共に一礼する。

正客は、元の席に戻る。

点前をする人は、建水の先に仮置した茶碗を、居前のまま両手で取り、
膝前に置いて、茶筅通しの残りをする。

いつもの様に点前を進める。
いつもの様にお茶を点てて出し、お詰めまでお茶を差し上げる。

場合によっては、点前の人も相伴する。

いつもの様に点前を進め、お仕舞いにする。

以上

2020年3月28日土曜日

帛紗 左腰(右腰)に附ける 刀掛け

帛紗

千家流では、帛紗は左に附けると思われているかも知れないが、
茶室が本勝手か逆勝手かによって異なる。
大抵の場合、茶室は本勝手に作られているので、左腰に帛紗を附けている。
逆勝手の場合は、右腰に帛紗を附ける。

帛紗は、勝手側に附けるものである。客側には附けない。

本勝手: 亭主の右側に客が居る。
逆勝手: 亭主の左側に客が居る。
表千家では、逆勝手は小間のみに作られる。
本勝手は、広間と小間に作られる。

帛紗を附ける位置は、腰の横の方ではなく、勝手側の乳房の下あたりに、
帯の下から帯を通して附ける。
女子は、帯の上から、帯に差し込む。

帛紗の下の線が水平になるように心掛ける。

刀掛け
刀を置く為の棚。
茶室の入り口付近に設けられた。

一段の棚、二段の棚、竹釘を打っただけのもの等あると言う。
1700年代に成立した「茶湯秘抄」には、利休が始めたと書かれているそうだ。
利休の頃から、茶室の中では帯刀しなかったらしい。
二段の刀掛けは、古田織部が始めたらしい。
片桐石州も「大小の取りよき程に釣り申し候」と言っているので、大刀小刀ともに刀は茶室に持ち込まなかった様だ。

お茶の流派によっては、
脇差(小刀)を左腰に差すので、帛紗は右に附けるとする流派もある様だが、
客が刀を差さずに席に入る時に、亭主が刀を差しているとは考えられないので、
帛紗を右に附ける理由としては、刀を差さなくなって久しい大正・昭和の頃からのものと思われる。
帛紗を右に附けるのには、別の理由があるのだろう。

参照
2020年2月29日「茶碗の飲み口
2017年10月9日「茶碗と茶器(茶入)の置き合わせ 道具の格
2015年2月12日「逆勝手 客 お茶の飲み方
2014年10月30日「茶入・茶器・茶碗等の格 扱い

2020年3月22日日曜日

炭点前 火箸を左手(右手)に移す 炉 

炉 炭点前 枝炭を灰器に預けた後の火箸の扱い

「定本 茶の湯表千家」主婦の友社
千宗左(而妙斎)版 にも
千宗左(即中斎)版 にも
次にように記載されている。

14.火箸をとって畳について持ち直し、
炭斗の枝炭二本を同時にはさみ、
灰器の左側の縁にかけておく。
15.火箸をついて持ち、左手に移し、
右手で胴炭を素手でつかんで、
炉の中手前寄りに入れ、
16.左手の火箸を右手に移し、
一度炭斗中央に入れる。

ここには、点チェックミスがある。
15.火箸を「ついて」持ち、
左手に移し・・

右手に持っていた火箸は、
「ついて」左手に移さなくて良い。
つかずに、そのまま左手に移せば良い。

火箸は、炭斗から下ろして、
右手で握り直す時、畳に突いて握り直す。
また、その逆に、
握っていた火箸を炭斗に戻す時にも、
畳について握り直す。

右手から左手に(左手から右手に)移す時には、
畳に突く必要もないので、突かない。


以上