2015年4月12日日曜日

牙蓋 「す」 茶入の蓋

茶入の蓋は、象牙で出来ている。「牙蓋」(げぶた)と言う。

象牙は、上顎の前歯が発達した物である。犬歯が発達した物ではない。

牙蓋には、「す」(細い窪みの線)が入っている物がある。
「虫くい」とも言う。

茶杓を置く側の反対側に「す」が来る様に、茶入に蓋をする。
茶杓は釜付きに乗せるので、釜付きではない方に、牙蓋の「す」はある。

本勝手であれば、
炉では、牙蓋の左側に「す」があり、
風炉では、牙蓋の右側に「す」が来る。

傷の様に見えるが、これは象牙の「髄」だそうだ。
人間の歯で言えば、血管や神経が通っている所になる。
1本の象牙の先1/3位の部分から髄は細くなって、先の部分は髄はないらしい。

この細い髄を「す」として牙蓋に取り入れてある。
大変貴重な物である。

人工的に細工して「す」を作ってある物もあるので、要注意。
安物買いの銭失いにならない様に。

ちなみに、輪切りにすると、象牙には年輪の様な模様が付いている。
髄を中心として、目の細かい年輪模様が付き、外に行けば段々粗い年輪模様になっている。

昔の物であれば、インド象の象牙であるが、今は輸入禁止になっている。
少量だが今輸入されている象牙は、アフリカ象の物である。

象牙の蓋にも、「本象牙」「人工象牙」「プラスチック」の3種類ある。

「本象牙」には、
細かい筋になった模様が付いている。
高級な物は極く細かい筋模様、安物は粗い筋模様。切り取った部所による。
輪切りにすれば年輪模様だが、「す」入り牙蓋は輪切りには取らないので、年輪模様にはならない。

「人工象牙」にも、
細かい筋の模様が付いている。
但し、模様が規則的になっている。
本象牙であれば、人間の指紋の様に規則的ではない。

「プラスチック」は、見るからにプラスチック。


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