2016年6月2日木曜日

桑小卓 柄杓・蓋置 建水・蓋置

桑小卓 柄杓・蓋置飾る

点前の終わりの柄杓と蓋置の飾り方には二通りある。

(1)天板に斜めに飾る、入り飾り。

蓋置は合の真下、柄の節にかかる辺りに置く。

(2)左側の奥の柱に柄杓の合をもたせかけ、柄の先は左側の手前の柱の根元に置く。

水指の蓋をしたら、すぐに柄杓・蓋置を飾る。

柄杓の合は手前を向かせ、斜めに柱に立てかける事になる。
右手で柄杓の節の少し上を持ち、左手は柄の先に添えて、立てかける。

蓋置は、中棚の左側手前、柄杓の柄の先の右横に取り敢えず仮置きして、
水指前に並べてある茶碗・茶器(薄茶の場合)の内、茶碗を勝手付きに仮置きし、茶器を天板に戻す。

棚前が空いたところで、
仮置きの蓋置を右斜め上から握り、左手であしらって、地板に置き易い様に、横から握り直して、地板の左右中央の少し奥に置く。

薄茶でも拝見がある場合は、濃茶の場合に準じる。

濃茶の場合、
水指の蓋をした所で、正客から拝見の挨拶。
それを受けて、すぐに柄杓・蓋置を飾る。

蓋置は、中棚に取り敢えず仮置きして、
水指前に並べてある茶碗を、勝手付きに仮置きし、茶入他を拝見に出す。

建水を勝手に引く前に、
仮置きの蓋置を右手で取り、地板の左右中央の少し奥に置く。

建水も飾る場合、

水指に水を加えた後、
洗った建水を持ち出し道具畳の左右中央に座り、

建水を左膝の線から少し前に出して、左手で置き、地板の蓋置を建水に右手で入れ、
建水の左右の真中を両手で持って、地板に入れる。
両手が棚に触る位入れたら、
右手、左手と建水の手前に持ち直して、建水の手前が地板から少し出る位まで、両手で奥に入れる。

又は、
拝見物がある場合、
拝見物を取りに来る時、建水を持って出て、建水を棚の地板に入れてから、拝見物の前に移り、お尋ねに答える。

建水を必ず飾る必要はありません。
お客に特に見て頂きたい建水でない場合でしたら、建水は飾らない方がむしろ宜しいでしょう。

建水も飾っている時の点前の始まりは、

茶碗を持ち出し、左手で勝手付きに仮置き。
建水を飾った時の打ち返しで、建水を棚から引き出して、
左手で左膝横の膝から少し下がった定所に置く。
茶器を天板から下して水指前右寄りに置き、仮置きした茶碗を右手で取り、水指前に置き合せる。
右手で建水の中の蓋置を取って、左手であしらい、右手で定所に置く。
柄杓を取って、蓋置に引く。
「どうぞお楽に」の挨拶。
建水を進めて、後はいつもの通り。

蓋置だけ地板に飾っている時の点前の始まりは、

茶碗を持ち出し、左手で勝手付きに仮置き。
地板に置いている蓋置を、中棚の左側手前、柄杓の柄の先の右横に取り敢えず仮置きして、
茶器を天板から下して水指前右寄りに置き、仮置きした茶碗を左手で取り、水指前に置き合せる。
建水を勝手から持って出て、いつもの様に身体の横に置く。
蓋置を取って定所に置き、柄杓を取って、蓋置に引く。
「どうぞお楽に」の挨拶。
建水を進めて、後はいつもの通り。

なお蛇足になるが、柄杓蓋置を飾った状態からは濃茶点前を始めないので、上記の「点前の始まり」は薄茶の場合です。
(組合点、仕組点を除く)

参照
2015年6月5日 「桑小卓 風炉 平建水」 
2021年5月2日「七種蓋置


2016-08-17 修正

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4 件のコメント:

  1. 三飾りで、平建水に蓋置を入れて地板に飾る場合の建水を進める位置ですが、
    上記ご説明で「建水の手前が地板から少し出る位まで」とあり、
    私もずっとそのようにしてまいりました。

    ところが今、定本(上)153ページの写真では手掛かりが出ていません。
    どのように考えるべきでしょうか。

    今日、桑小卓のページを繰りましたのは、棚の板目の向きを確かめるためでした。
    地板から根元が勝手付、中棚で客付、天板でまた勝手付に戻る、と覚えておりまして、定本でも写真6枚中5枚がそうなっておりますが、5番だけ逆のように見えます。
    これに関しましてもお考えを拝聴できましたら嬉しいのですが・・・。

    お忙しいところ申し訳ありません。急ぎませんのでよろしくお願い申し上げます。

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    1. そうですね。私も写真を見ました。建水は全体が地板の中に入っていますね。

      而妙斎宗匠の「定本 茶の湯 表千家」(初版 昭和61年7月1日)は、
      即中斎宗匠の「茶の湯 表千家」(初版 昭和41年12月3日)を増補したもので、
      即中斎本の写真も多くそのまま使われています。
      定本(上)153ページの写真では、ご指摘の様に(1)(2)(3)(4)(6)が即中斎本の写真を使われていて、(5)は新しく撮影されたように見えます。
      ライトがどちらから当てられているかを見れば分かります。
      即中斎本はライトは左から、而妙斎本は右から当てられています。

      中棚の根の向きも、仰る通りだと思います。

      茶道雑誌の平成27年7月号「茶道講座 297 不審菴編」では桑小卓が使われていますが、その写真(107ページ)では、中棚の根は客付に向いています。

      どう考えるのでしょうね?
      「地板から根元が勝手付、中棚で客付、天板でまた勝手付」に、
      (1)絶対しなければならない。
      (2)出来ることならばした方が良い。
      (3)どちらでも良い。

      実は、私は(2)と考えていまして、
      地板の根の方向は客は見えづらい、中棚の板目は客に見えやすい、又 天板の根が客付になり四方棚などの時と同じになるので、
      以前と変更して最近は、中棚の根を勝手付になる様に置いています。

      しかし、即中斎本の写真では「地板の根を勝手付」になっていますので、そのようにしたら間違いないとは思います。

      本題の建水の位置ですが、
      この写真には今回初めて気が付きました。

      即中茶記第二分冊では、128ページに「両手で建水を持って地板にいれ、更に持ち直して、少し奥にいれます」とあるのを、どう読み取るかですが、
      林利左衛門の「表千家茶道」(昭和42年 改訂増補新版)で、「・・両手で棚の下に入れ、指がかりを少し残して置きます」(但し、挿絵を見ると、地板に全部乗っています)
      とありますので、
      「建水の手掛かり分を少し地板の手前に出す」にして、取り出す時にやり易い様にした方が私は良いと思っています。

      師匠から私が教えられたのは、(私の師匠は、即中斎宗匠内弟子の宗匠です)
      「地板から少し出しておく」です。
      もう少し言えば、「蓋置を置く位置は、建水の中に蓋置を入れた時、蓋置がある位置に、蓋置だけの場合でも置く」でした。
      実際には、私はそれより少し手前に置いています。
      但し、私の師匠は「即中斎宗匠から直接手を取る様に教えて頂いたことはない。即中斎宗匠を見て真似をするだけだ」が口癖でしたから、建水の位置など絶対的な物ではなく、その人の考えで出来る範囲だとは思いますが、
      どうでしょうか?

      また、師匠の稽古では建水を飾る事はありませんでした。蓋置を飾って、それで終わりでした。
      客に見て頂きたい建水でなければ、建水は飾らない、と 私は理解しています。

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    2. (追伸)
      表千家テキスト(14)棚物 小卓(風炉)・高麗卓(炉)
      千宗左監修 (即中斎)
      千宗員著  (而妙斎)
      昭和52年10月15日初版
      発行 主婦の友社
      を見ると、
      62ページの写真では、建水は地板から少し出て置いてあります。

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  2. 定本(上)153ページの写真、確かに5番だけライトの当たっている面が違いますね。
    而妙斎本で、小卓を置く向きにまさかのミスなどあり得ないでしょうから、仙石様仰るように「(2)出来ることならばした方が良い。」と考えるように致します。

    さらに進めて「最近は、中棚の根を勝手付になる様に置いています。」というお考えも成り立つわけですね。
    今後どこかのお茶席でそのような設えを拝見した時に「あ、間違ってる!」などど、恥ずかしい態度を取らずに済みます。(汗)

    主婦の友社「表千家」323ページ~324ページでは「手がかり分だけ出しておきます」とありながら、写真では入っています。
    建水の微妙な位置などは亭主の判断の内なのですね。
    決められた事を四角四面に行う方が気が楽で、目下、守離破の守を爆走中です。

    私の師匠の師匠が即中斎宗匠の内弟子で、而妙斎宗匠と兄弟弟子だったそうなのですが、私も「蓋置を置く位置は、建水の中に蓋置を入れた時、蓋置がある位置に、蓋置だけの場合でも置く」と習いました。そうしますと自然と手掛かりは出てきます。

    建水を飾ることを省略したいと思いながら、貧乏根性でなかなかカットできません。
    潔くありたいものです・・・

    今回も多くのお教え、本当にありがとうございました。
    また一歩お茶の道を進めました。

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