唐物 青磁茶碗 馬蝗絆 ばこうはん
東京国立博物館所蔵 重要文化財
マスプロ美術館所蔵
青磁輪花茶碗で「馬蝗絆(ばこうはん)」と呼ばれ、ひび割れを鎹(かすがい)で止めた茶碗が国内に2碗伝わっている。
龍泉窯、南宋時代の砧手青磁で、色、形、共に最上手のものと言われている。
平重盛(平清盛の長男 平安時代末期 1138〜1179)が、南宋 浙江省杭州 育王山に3千両の寄進をして、その返礼に青磁の茶碗が2個贈られてきたとの伝承がある。
但し、推定製造時期 13世紀と年代的に差がある。
その茶碗は、
東京国立博物館所蔵 重要文化財のもの と
愛知県マスプロ美術館所蔵のもの
の2個と言われている。
後に足利義政(室町幕府8代将軍 1436〜1490)がこの茶碗を手に入れたが、熱湯のためかヒビ割れができたので、明の国に送ってこれに代わる茶碗を求めた。
しかし、このような茶碗はもう焼成できないと、2個ともヒビ補強に鎹(かすがい)を打って返却されてきた。
その後、「馬蝗絆(ばこうはん) 」と呼ばれ名声を博した。
青磁茶碗といえば、先ず馬蝗絆が筆頭にあげられる程である。
馬蝗絆は、2個ある。
(1) 重要文化財
足利将軍家 → 吉田宗臨(京都 角倉家の祖) → 室町三井家(京都) → 東京国立博物館
6ヶ所に鉄釘(鎹)を打ってある。
(2)足利将軍家 → 曲直瀬道三 → 織田有楽 → 織田三五郎 (織田有楽の孫 千宗旦と親交あり) → 角倉家(京都) → 平瀬家(大坂) → マスプロ美術館(愛知県)
3ヶ所に鉄釘(鎹)を打ってある。
蝗 (こう) - バッタやイナゴ
絆 (はん) - きづな
打たれた鎹(かすがい)をバッタと見て、馬蝗絆と呼ばれている
と言われ、東京国立博物館の説明にもそう書いてある。
しかし、
馬蝗とは、バッタではなく、蛭(ひる)の事であり、
ひび割れを止める鎹をヒルと見て、馬蝗絆と名付けられた
との説もある。
私にはどう見ても、鎹(かすがい)はバッタには見えないので、ヒルの方が説得力がある。
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