掛物を壁に掛ける場合、
掛物の裏が後ろの壁に触らない様に掛ける。
表千家では、掛物釘は竹釘を使う。
竹釘は皮を上にして打つ。
竹釘を打つには留意して、掛物の掛緒が竹釘の中途で止まる角度にしておく。
掛物が壁に触らない為である。
床の壁(大平 おおひら)の天井廻り縁の下に、織部板と呼ばれる幅6寸位の板を入れて、その板に掛物釘を打ってある場合がある。
これも掛物が壁に触らない工夫である。
床の正面大平壁には花入を掛ける中釘を打つ。
流儀によっては、軸を掛けた時邪魔にならない様に引っこむ無双釘と呼ばれる中釘を打つ場合があるが、
掛物を掛ける時、掛物が壁に触らない様に掛ければ、無双釘は必要のないものであり、
表千家では使わないものである。
三代 元伯宗旦が、ある所の茶事に呼ばれた時、
茶事が終わった後、元伯の相伴をした人に、「何か言われたか」と亭主が尋ねた所、「掛物が良かった」と言われたとの事であった。
「その理由は、掛物が壁に触っていなかったからでしょう」と相伴の人が答えたとの話が残っている。
何とも辛い話ではあるが、掛物と壁の関係についてだけ言えば、納得できる。
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