2017年9月14日木曜日

高麗茶碗 特徴など

製作者の立場から見た高麗茶碗の特徴などの説明を受けたので、順不同で記してみる。

高麗茶碗 ・・ 井戸、三島、粉引、刷毛目、御本、御所丸、金海、伊羅保、熊川、斗々屋、柿蔕、呉器など

高麗茶碗は、白磁・青磁を狙って作っているので、
釉薬は総かけになっている。
高台内にも釉薬がかかっている。
日本からの注文品は、殆どが高台まわり、高台内に釉薬がかかっていない。

釉かけは日本と違って、高台に指2本(中指、薬指?)、
口辺に指1本(親指)を掛けて、手首を廻して釉薬をかけたらしい。
高台にその指跡が2本残っている。
口辺の指跡には釉薬が薄くなっている。
もしくは かかっていない部分がある。

見込の底を指で押した 押し跡のある物がある。
割れ(ひび)が入らない様に押したらしい。

口辺を内外から押してグルリと一周して、土を締めた物がある。
(竹)ヘラで内外から口辺を1cm幅位で押している。
割れ(ひび)が入らない様に押したらしい。

朝鮮の土には養分がない。
日本の土には、木の葉などが堆積して養分がある。
石(磁器)と土(陶器)の違いになる。

高台まわりが土見せになっている物は、日本からの注文品である。

歪みやヘラ跡のある物は、日本からの注文品である。

茶溜まり付近の目跡にも均等にならない様に工夫している物が見られる。
これも日本からの注文品である。

高台内の削り跡に工夫をしてある物は、日本からの注文品である。
釘彫り、トキン、輪になったりしている物

茶碗の外に目立ったロクロ目がある物は、高台を削った時に付けている。
ロクロを引いている時に付いたものではない。

支那、朝鮮では、食器は置いたままで食べる習慣である、
日本では、食器は手に持って食べる習慣である。
その習慣の違いが茶碗の見方の違いになっている。

支那、朝鮮では物は目だけで鑑賞すれば良い。

日本では、目だけでなく手で触った感じも鑑賞の対象になっている。
茶碗であれば、目で見、手で触り、口を当ててどうであるかが、鑑賞の対象である。
そこが美術館で鑑賞するだけでは満足できない理由の一つとなっている。


2018-1-26 修正

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2 件のコメント:

  1. 明けましておめでとうございます
    今年も宜しくお願い致します

    美術館で、正面から後ろから斜めからどんなに眺めても何だか腑に落ちないというか満足しきれなかったのは日本人の長い生活習慣から来ている感覚だったのですね
    大変興味深く拝読させて頂きました

    ありがとうございました

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    1. 葉っぱ様
      明けましておめでとうございます。
      この話は、唐津焼のマアマア名の知られている製作者から説明を受けた時の話しです。
      但し、中里太郎右衛門さんではありません。
      この話を聞いた時、私も大変納得しました。
      高麗茶碗を色々並べて説明して頂いたんですが、
      その時の主催者の姿勢は「陶磁器は手で触らないと解らないので、触って下さい」でした。
      説明者も受講者も、見るだけではなく高麗茶碗を手に取りながらの講座(?)でしたから、とても勉強になりました。
      残念ながら、お茶をその高麗茶碗で点てて飲むことはありませんでしたけれど。
      「茶碗の外に目立ったロクロ目があるのは、後からつけている」には「エエ? ホントー!!」でした。

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