火舎(ほや)、五徳、一閑人(いっかんじん)、三つ人形、栄螺(さざえ)、三つ葉、蟹(かに)を七種蓋置と言う。
「定本 茶の湯表千家(千宗左 著)」の七種蓋置の項目は解りにくい点があるので、ここに書いてみた。
昭和10年代(第二次世界大戦)以前までは、七種蓋置に瓶に穴が開いた形をしている夜学蓋置を加えて、「飾り蓋置」と言った。
「飾り蓋置」は、台子・長板に用いて、その他の棚には用いなかった。
また風炉の台子には用いなかったらしい。
但し、栄螺(さざえ)蓋置だけは小卓にも用いた。
その頃までは、「飾り蓋置」には、釜の蓋は置いても、柄杓を引くことはしなかった。
現在では、火舎蓋置を除き小棚にも使い、柄杓も引いている。
今は、昔とは随分違った使い方をしている。
1.火舎(ほや)
最も格の高い蓋置で、台子と長板の諸飾に用いる。
建水に仕込んで水屋から持ち出す事はない。
点前の始めには、蓋を閉めたまま定所に出す。
釜の蓋を取る前に、火舎を左手に載せて、火舎の蓋を左から右に打ち返して、火舎の身に戻し、定所に戻す。
柄杓を柄杓立から取って構えて、釜の蓋を載せる。
点前の終わりに釜の蓋をしたら、柄杓を柄杓立に戻した後、火舎を左手に載せて、蓋を右から左に打ち返して、定所に戻す。
2.一閑人(いっかんじん)
人形が井戸を覗き込んでいる。
人形の顔の向きを正面にする。井戸の向こう側に人形がいる事になる。
点前の始まりには、
建水から右手で蓋置を取り、左手に載せて人形の頭を釜の方に倒して、定所に置く。
柄杓を取って、蓋置に引く。
点前の終わりには、
柄杓を取って、右手で棚に飾る。
蓋置を取って左手の上に載せ、人形の頭を元に戻して、人形の顔を正面を向けて棚に飾る。
3.五徳
五徳の爪の一本を正面にする。
釜の蓋を載せる時、柄杓を引く時は、輪を上にする。
建水から右手で蓋置を取り、左手に載せて左から右に打ち返して輪を上にして定所に置く。
柄杓を取って、蓋置に引く。
柄杓の柄の下に一本の爪が来る。
柄杓を取って、右手で棚に飾る。
蓋置を取って左手の上に載せ、右から左に打ち返して輪を下にして、爪の一本を正面にして棚に飾る。
4.三つ葉
建水に仕込む時、棚に飾る時は、小さい葉を上にして、小さい葉一枚が手前にある。
柄杓を引く時、釜の蓋を載せる時は、小さい葉を下にして、小さい葉一枚は手前のままにしておく。
建水から右手で蓋置を取り、左手に載せて左から右に打ち返して小さい葉を下にして定所に置く。
柄杓を取って、蓋置に引く。
柄杓の柄の下に小さい葉一枚が来る。
柄杓を取って、右手で棚に飾る。
蓋置を取って左手の上に載せ、右から左に打ち返して小さい葉を上にして、小さい葉一枚を正面にして棚に飾る。
5.栄螺(さざえ)
建水に仕込む時、棚に飾る時は、栄螺の殻を上に、尻尾を左にする。
柄杓を引く時、釜の蓋を載せる時は、栄螺の殻を下に、尻尾を右にする。
建水から右手で蓋置を取り、左手に載せて左から右に打ち返して栄螺の殻を下に尻尾を右にして定所に置く。
柄杓を取って、蓋置に引く。
柄杓を取って、右手で棚に飾る。
蓋置を取って左手の上に載せ、右から左に打ち返して栄螺の殻を上に尻尾を左にして、棚に飾る。
6.三つ人形
建水に仕込む時、棚に飾る時は、人形の内 衣装の異なる一人を手前にする。
柄杓を引く時、釜の蓋を載せる時も、衣装の異なる一人を手前にしておく。
衣装の異なる一人を手前にしておくだけで、特別な扱いはない。
7.蟹(かに)
建水に仕込む時、棚に飾る時は、蟹の頭を手前にする。
柄杓を引く時、釜の蓋を載せる時も、蟹の頭を手前にしておく。
蟹の頭を手前にしておくだけで、特別な扱いはない。
2016年6月2日「桑小卓 柄杓・蓋置 建水・蓋置」
2015年6月5日「桑小卓 風炉 平建水」
2021-5-11 修正